天使に恋をしたら・・・ ...angel

 

 

聞けなかった - 2003年06月06日(金)

昨日のタンゴはものすごく楽しかった。
20歳少しくらいのスパニッシュの女の子たちが5、6人グループで来てて、みんな初めてだからベーシックのステップ教わってて、太った大きなあのおじさんは今日も来てないし、いつもべったりくっついて踊るカップルが「ふたりの世界」やってるし、あとは「女の子探しに来てます」丸出しのときどき来る男の子しかいないし、つまんないなあって思ってひとりクッキーとナチョスかりかり食べてたら、いつも来るロシア系の男の子、男の人かな、が現れた。

そんなだから、そのロシア系さんが今日はずっと一緒に踊ってくれた。どこかのスタジオで週2回レッスン受けてるらしくて、来るたびに上手くなってる。それでわたしにいろいろ教えてくれる。1曲終わるたびに、「このステップが急ぎすぎ」とか「このあとはきっちり両足合わせて止めて」とか注意してくれるのも嬉しい。「目をとじて」って言われてずっと目をつぶって踊ってた。ロシア系さんはものすごく背が高くて、顔を見て踊ろうとすると首が痛くなるから、目をつぶるのがちょうどいい。それに目をつぶる方が上手く踊れる。不思議と相手のステップの幅とかも感覚でわかって、自分で動きが滑らかになってるのがわかる。曲が終わって目を開ける前に「クイズ:今わたしはどこにいるでしょう?」を自分にするのもおもしろい。

このロシア系さんが比較的パーキング・スポットが見つけやすい通りを教えてくれたおかげで、メーター・パーキングに車を停める必要がなくなって一時間置きにコインを入れに行く心配もしなくて済むようになった。


「10時頃になるけどいい?」って、デイビッドは電話をくれてた。「今日中にどうしても終わらせなきゃいけない仕事がひとつあるから」って。ロシア系さんと車を停めてるとこまで一緒に歩いて、ゆっくりデイビッドのアパートまで運転して、パーキングのスポット見つけるのに時間かかるからちょうど10時頃になるかなって思ってたのに、昨日に限ってスポットはすぐに見つかった。10時までまだ20分あった。車の中で待ってたら携帯が鳴る。ふたつ向こうの通りのカフェで待っててって言われた。

雨は降ってなかったけどパティオに座るのはまだ寒くて、中の席に案内してもらう。10時過ぎになってもデイビッドは来ないで、「まだ待ってるの?」ってウェイターのお兄さんにからかわれた。「絶対来てくれるんだから」って言ったのに、やっとやって来たデイビッドにウェイターのお兄さんは「彼女ものすごく心配してたよ」って笑いながら言った。ごはんを食べて、グローサリーストアでアイスクリームを買って帰る。

途中でデイビッドがベースボールハットをお店に置いてきたっていうから、「戻ろうよ」って言って一緒に戻る。交差点の真ん中で急に早足になるデイビッドについてけなくて、ふたつの道路を隔てた植え込みの前のベンチで座って待ってた。隣りにいた男の人が時間を聞いてきた。ベースボールハットを被って戻って来たデイビッドがわたしに向かって言う。
「Hi!  きみ、どっかで会ったことあるね。一緒に来ない?」
「オーケー。でもあたしあなたに会ったことあったっけ?」。
そう言って立ち上がったら、隣りの男の人がびっくりした顔して見てた。

わたしがビートルズの CD をかけたら、Your Mother Should Know の曲のところでいきなりデイビッドがバイオリンを取り出して、ビオラみたいな音を鳴らす。すごく綺麗な音色。ビートルズがこんなふうにバイオリンと合うなんて驚いた。Hello Goodbye も Strawberry Fields Forever も Penny Lane も、それから All You Need Is Love まで、デイビッドはバイオリンを合わせて弾いた。「初めての試み」って笑ってた。All You Need Is Love を、わたしは歌いながら踊ってた。

それからデイビッドはアラビック風の曲を勝手に作って弾きだした。「ベリーダンシングだ」って、わたしはデイビッドのバイオリンに合わせて踊って見せる。デイビッドの即興のアラビック風の曲はとても適当で、でもとてもアラビックで、先生がいないからわたしのベリーダンシングも適当で、でもそれなりにベリーダンシングで、ふたりで大笑いした。

それから今度はギターを弾いて歌を歌ってくれた。18のときに自分が創って友だちが詞を書いた曲とか、デイビッドの住んでるあたりのことを歌った歌とか。「それもあなたが創った曲でしょ?」って言ったら「なんでわかったの?」ってデイビッドは聞いた。だってわかった。曲も歌詞もとてもデイビッドらしかった。とても素敵な歌だった。そういうのたくさん弾いて歌ってくれた。前にくれたデイビッドの CD の中でわたしが一番好きって言った曲も。

楽しかった。わたしはキッチンに行ってふたり分のお茶を入れる。「カフェインの入ってるのはだめだよ、こんな時間に」ってデイビッドが言う。「入ってないよ」「なんでわかるの? どのお茶使ったの?」「入ってないってば」「だからどれ?」。デイビッドったら本気で心配してる。「ミントティ」って言ったら「サンキュー」ってほっぺたにキスしてくれた。誉められた子どもみたいに嬉しかった。


わたしはデイビッドのベッドで眠ってしまった。
デイビッドはわたし用に目覚ましを6時に合わせてくれてて、わたしはひとりで起きて、眠ってるデイビッドのほっぺに「バイ」ってキスして慌てて帰った。

聞けなかった。
聞こうと思ってたけど。
聞けなかった。
わたしがデイビッドのいったい何なのかなんて。


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