世界一のおとぎ話 - 2003年05月27日(火) 今日も何度も電話してみたけど、カダーのルームメイトの携帯は切られてる。 それでカダーに電話したけどカダーも電話を取らないから、一緒に出掛けてるのかなって思ってた。 1時間くらい経って、カダーが電話をくれた。 ルームメイトは、日曜日にもう帰っちゃったって言った。 なんだ。帰っちゃったんだ。 会いたかったな。せめて電話で話したかった。 来週には向こうから電話がかかってくることになってるって言うから、「じゃあそのとき言っといて」って言った。 「何て?」 「何て言おう?」 別に伝言でもいいかって思ったけど、やっぱり話したかった。 「あたしに電話してって」 「わかった」。 なんだ。帰っちゃった。「きみに電話するように僕は言ったんだけどさ。なんでかけなかったんだろ」ってカダーは言ってた。そんなのはいいんだけど。だって、そういうときってほんとに忙しいって知ってるから。でも、ここにもうしばらくいたいって言ってたから、ちょっとだけ心配してた。幸せに帰ってくれてればいい。しばらくいたいって言いながら、自分の国も家族のこともずっととても恋しがってたから、きっと幸せに帰ってった。いつかここに遊びにおいでね。バイバイ、ルームメイト。Thanks a million. See you one day, for sure, okay? カダーは車の運転してて、それからずっとおしゃべりしてくれた。 今日は雨は降らなかったけど、ずっと曇ってた。明日はまた雨らしい。天気予報は、来週の終わりまでまだこんなのが続く。「ここの気候は最悪だよ」ってカダーは言う。「でも去年はこんなじゃなかったじゃない?」「だけど晴れても夏はじめじめしてるし」「そうだね。ねちゃねちゃして気持ち悪い」。それでわたしがあの街の夏がどんなに素敵か話し出したら、カダーはカダーの国の気候は世界一なんだって自慢する。笑った。「この世には世界一が山のようにあるんだね」って。 笑ったら、「聞けよ。どんなふうに世界一か話してやるから」って、カダーはカダーの国のことを話してくれた。ああ、それは本当にいつもおとぎ話のようで、神秘的で透き通って輝いてるその国を、わたしはカダーの話に聞き入りながら、いつものように思い描いてた。見たこともない国。だけど、世界一好きな国。ほかのどんな国だって、こんなふうには思い描いたり出来ない。天国以外には。 いつか行きたい。それは望み。憧れ。夢。だからお祈りはしない。 ただ、ずっと聞いていたい。世界一のおとぎ話。 うちに着いて、カダーは「またかけるよ」って電話を切った。 いつかなんてもう聞かないし、いつ会えるのかももう聞かない。 わたしはやっぱりカダーの幸せをお祈りして、 そして神さまに今は感謝するだけ。 -
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