結婚指輪 - 2003年05月02日(金) デイビッドのことが心配で、そんな自分が怖くなる。 好きになってはいけないはずなのに、好きになったのかもしれないって。 あんなにナターシャと想いが通じ合うのは、ほんとにあの娘がナターシャの中に入ってわたしをナターシャに会わせてくれたんじゃないかって思いさえしてた。「きみが来るとナターシャは信じれないくらいハッピーになるんだよ」って、びっこの足を痛がって咳ばかりして苦しいナターシャを「ハッピーにしてくれてありがとう」ってデイビッドはいつも言う。デイビッドに出会ったのは、ナターシャに入ったあの娘に会うためじゃないかって、そんなことすら思ってた。 デイビッドはとても楽しい。カダーと違って、楽しいことをいっぱい一緒にしてくれる。いつもハッピーな人でパワフルでエナジェティックで、わたしにポジティブなパワーをたくさん分けてくれる。ナターシャがわたしに会うたびにハッピーになれるとすれば、わたしはデイビッドに会うたびにハッピーになれる。たくさん ex-ガールフレンドがいて今でも彼女たちと友だちなところを除けば、デイビッドとならきっと何の不安も感じないで愛し合える。セキュアな幸せが見える。 カダーの愛があんなに欲しかったはずなのに、true love を信じられないのはデイビッドのせいのような気がし始めてた。 ディーナに会いに行ったら、信じられないようなことを言われた。わたしは2年のうちに結婚する。それからディーナは突然結婚指輪のことを言い出した。わたしが今でもそれを持ってること。 わたしはまだ持ってる。それは左手の薬指にしか合わないから、ゴールドのチェーンにつけてネックレスにしてときどき使ってる。言い当てたのは自分なのに、ディーナは驚いてた。そしてそれを捨てるように言った。それを持っている限りこの次の結婚が上手く行かないって。 そんなことより、わたしが結婚するなんてことを、信じられないし認めたくなかった。 「神さまがあなたの幸せのためにそれを望んでるの。あなたは結婚して新しい家族と幸せになるの」。 なんで? 相手は誰? カダーが true love って言うなら、それはカダーなの? 結婚はおろか、カダーと一緒に暮らすことなんて考えたことも望んだこともない。 もしももしもほんとに結婚することになってるのなら、デイビッドなら想像出来る。そんなこと考えちゃいけないのに。 ディーナにデイビッドへの気持ちを話してみる。 もしもわたしが本当にその人を好きになって愛し合えることを望んでいるなら、神さまがちゃんとそれを見てる。そして神さまが導いてくれる。神さまはわたしの幸せのためにわたしを守ってくれてるのだから、わたしの愛する人に恵みを授けてくれる。それが誰であっても、わたしの幸せな結婚のために。ディーナはそう言った。 「だって彼が true love じゃなかったの?」。わたしはカダーのことを聞いた。 「それはあなたが神さまに彼の愛をお祈りし続けたからで、あなたがほかの人の愛を望み始めたとしてもそれを神さまは咎めたりしない。神さまはあなたがほんとに望む人に true love を授けてくれるのだから」。 もう混乱して、わけがわからなくなった。 結婚なんて、望んでなかった。 結婚なんか、もう信じてない。 誰かがいつもそばにいてくれることを望んでるだけ。 セキュアな愛が欲しいだけ。 わたしは結婚指輪を捨てたくもなかった。幸せだったころの証。大切な思い出。 ディーナはそんなこと理解出来ないって言った。ダークネスに覆われたわたしの過去の証でしかないのにって。壊れてしまった過去の結婚を引きずってるだけじゃなくて、そうすることがわたしの将来の結婚まで壊してしまうって。 それでも捨てたくなかった。 そんなにわたしにとって大切なものなのなら返すことを約束するから、せめて教会の祭壇でクレンズしなくちゃいけないってディーナは言った。 それ以上抵抗出来なかった。 いつでもなんでも捨てられないで、ずるずる引きずってる。それはほんとのことだ。 言われたとおりにするしかなかった。 もうディーナに会いたくない。こんなのはイヤだ。 わたしの信じて来たものはいったい何? そんな思いを必死で拭いながら。 -
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