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男女の純粋な友情は、哲生に出会うまで知らずにいた。 あたしは男友達を持ちにくい。このことは先生もあたしに告げたけど、男性恐怖症状のせいで、男の人を信頼しにくかったり、好意を持たれると怯えてしまうのだそうだ。なので、あたしはあたしのことを全くタイプでない、という男の子としか付き合えない。あとは恋愛に発展したり。 寂しがりや故誰かを欲したりするので時々そういう人と一緒にいては紛らわしたりもした。男の子の影が薄くなるのが怖い。でも付き合えたりするほど器用でもない。怖いから。乱暴されたらどうしようって思う。どうしてそういう感情を持つのか判らない。レイプされたわけでもないのに。電話で、似たようなことはあるけれど。(過去の日記参照) そうして自分も相手も使い捨ててきたのだった。 あたしは根っからの甘えっ子なので、哲生にもつい甘えてしまう。 恋愛慣れしてない彼には時々辛いことなのだろう。あたしの甘えたしゃべり方が時々気に障るらしく、(何度も直そうとしたのよ。もう挫折して諦めたけど)叱られることもある。 哲生はあたしの好みじゃない。清潔すぎるし、色っぽくない。 其れは哲生も然り。 あたしみたいに甘えたで、情緒不安定で、時々跳ねたりする爆弾娘は哲生の手に負えないらしいし、というよりも、うーん、哲生は、美人で、そつなく、男の子の中でも堂々と能力を発揮するような女の子が好きらしい。やー哲生、あたしもそういう女の子大好きよ。 哲生は最初会ったとき、あたしに滅茶苦茶冷たかった。他の男の子が色々親切にしてくれる中で、哲生だけが冷たかった。
ある日哲生から抗議の電話があった。 誠実で健全で、頭に来るくらい真っ直ぐな彼故の憤りにあたしは戸惑った。 戸惑いながらも、あたしはあたしの秘密をぽろりと零し、自分の将来の不安定さ、レールを外れた生き方をしているあたしの不安、憂鬱を零して、泣いた。泣いて抗議した。(昔から泣き虫だったんだわ、あたし) 「あなたにそんなこと云われる筋はない。あなたは何も判ってない。何も云ってないから仕方ないことだけど、でも一方的にそんなこと云わないで欲しい」
「・・・そこまで考えてるとは思わなかった。ごめん」 哲生は其れからあたしにそんな冷たくなくなってきた。徐々にだけど。 かなり堅物の彼は、4年間でわかりやすいユーモアも云えるようになり、おどけたりもして、はっきり云ってやわらかくなった。(ごめん哲生(^_^;)) 始めの方で哲生は笑い上戸のあたしが、哲生の冗談に笑ってくれるのが嬉しいと云っていた。うん、出会った頃の哲生は、冗談云っても「え?今の冗談?この人冗談なんて言うの??」みたいな雰囲気の男の子だったのだ。
もうこんなエピソード、彼は覚えてないだろうけど。
哲生は不器用なまでに誠実な人で、あたしはある意味其れを利用してきてしまったのだと思う。基本的に哲生は、凄くいいひとで、器用で頭も良くて賢くて、性格もいい。所謂エリートくんだけど其れをちっとも鼻に掛けてない。だけど、その器用さが時々かちんとくる。そんな風にあなたみたいに誰でも何でも出来るなんて思わないで。あなたみたいな人にあたしの気持ちなんて分からない判らないよ。なんていっぱい罵った。 こんなこと云われても哲生は困るだけなのに。 必死になって居場所作ってきた浩之やあたしの気持ちなんて哲生になんか判るわけがない。 其れは生き方の違いだ。仕方がない。 持ってる物が違いすぎる。育った環境も。
哲生を怒らせたときあたしはどうしていいのか判らなかった。めんどくさいから放っておこう、とか、彼を傷つけたのはあたしなのに、そんな風に思ったこともあった。対処の仕方が全く判らなかった。拗ねたり、ふくれたり、寂しがったりするのはいつもあたしの方で、彼が感情的になることはなかったから。そのうち直してくれるだろう、と友達に云われたとおり、のんきに構えてたりもした。
哲生はあたしの親代わりだった。はっきり云って。
哲生にキスしたことがある。好意ではなく、試したり、エゴや、そういう黒い感情からだ。哲生は怒った。ひどく怒られた。でも許してくれた。其れから哲生はあたしを微妙に信用しなくなったけど、あたしは哲生を信じられるようになった。皮肉なことだけど。 何度も何度も試さないとあたしは人を信用できない。誰かがあたしに傷ついて、泣いて、あたしに対する真っ直ぐな誠実さを見せてくれたとき、あたしは初めて信頼できるのだ。なんてさみしい人間なんだろう、あたしは。
信じたいと願うのに。
るう
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