昨日もきょうも冷え冷えした風が吹き、職場の正門あたりには 放っておいたら敷きつめられそうなほどの枯葉が散っている。 一見、秋の風情である。 この枯葉を散らしているのは何ていう木だ? と尋ねたら、 4人目に尋ねた人が知っていて、楠だと言う。 「春の枯葉」なんて、太宰が皮肉っぽくつけた戯曲の題名だけだと 長年思っていたけれど、実際に存在していたのだ。
その傍らで、つい1週間ほど前までは、葉が1枚もない枯れ木だったのに、 たちまちにして透き通るような若葉が茂っている木がある。 毎日眺めていると、その勢いに驚かされる。 まさに「萌え出づる」という風情であるし、 青空の下で見上げると、「青葉若葉の日の光」の風情である。 尊く美しい生命の息吹を感じさせてくれる。 この木は何だ? と尋ねたら、 やはりその4番目に尋ねた人が、欅だと言う。
自然の営みは、返す返すも不思議だ。 春に葉を出すやつもいれば、まず花を咲かせて葉を出すやつもいれば、 春に葉を枯らせて落とすやつもいる。 一体全体、誰がそんな企画を練ったんだいね、、??
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