人口減少傾向に入ったとか言って慌てている報道を読むと笑えてくる。 少子化対策として、生んだらこれだけ払うとか、 育児にこれだけ補助金を出そうなどと雀の涙ほどのお金を税金から拠出とか、 あんたら、ホントの理由がちっともわかってないんだね、と、 顔面に蹴りを入れてやりたいようなものだ。
女は家庭におさまってあたりまえ、という時代には、 経済的にいくら困難でも、生みたいだけ生み育てるのが普通だった。 よほど貧困な地方では、損になる子は殺したり棄てたり売ったり、、 ということもあったと聞くが、ま、普通は、 貧乏人が子沢山でも、何とか苦労して育てたものである。 私は3人兄弟だったが、父の給料が安くてやりくりたいへんだった話は 母からよく聞かされた。
少子化の原因のひとつは、考え方がより自由になったせいでもある。 我が家には2人の子どもがいるが、妻が欲しがったからいるのであって、 私は子どもなどいらないと思っていた。 私の友人夫婦でも、子どもを作らずに済ませた夫婦は2組ある。 しかし、こういう考え方については、少数派としておこう。
女性もできれば大学に進学し、仕事に就くのが当然の風潮になったのに、 子どもができたら仕事を続けるのが困難だというのが大きい理由だろう。 育児休暇など、かなり柔軟なものになって、制度だけは改善されつつあるが、 経営者や管理者など、世間のあらゆる場面での指導者たちの意識が問題だ。 そのあたりにまだ封建社会の意識構造が残存しているのである。 結局のところ、多くの女性たちがいまだに、 家庭と育児か、仕事か、という選択肢に迫られているのである。 この場合、夫である男の方も、家事・育児のしやすい風潮が必要なのだ。 家事・育児と仕事との両立しやすい環境という社会的意識変革がなければ、 些細な金銭的支援を施したところで少子化は改善されないだろう。
もしも公的に金をかけるとしたら、保育設備の充実である。 18年前私たちが今の住居に戻ってくる決心をしたのは、 子どもを保育所に預けて2人が仕事を続けるめどが立たず、 結局は、妻の父母の協力を必要としたからである。 保育所の時間制限もあり、また保育所が少なくて競争率が高いこともあった。 共稼ぎなどしていると、収入が多いということで不利にもなるのだった。 そのこと自体を恨むわけではない。 片親だけで、働かざるをえず子育てする人の苦労の方が多いわけだから。 私たちの場合は爺さん婆さんをあてにできたからいいけれど、 そういう人たちと遠く離れていてあてにできない人たちはたいへんなのだ。
もうひとつ考えられる理由は、将来に対する不安だろう。 庶民冷遇の構造改革が、なぜ庶民にあれだけ支持されているのかわからない。 しかし、自分もいつリストラされるかわからない、 未来の自分たちの生活がどうなるのか見えにくい時代になってしまったのだ。
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