TENSEI塵語

2005年10月05日(水) 再び、難解な「飛梅」

まさしくんの歌には、わかりやすい歌詞の歌も多いのだが、
昨日の「春告鳥」を筆頭に、「線香花火」「晩鐘」、、、など、
何かとらえがたいものを漂わせた、それ故に余情を膨らませた歌もあるのだ。
そのわからないところは放っておけばいい、というのが私の信条だが、
何度も聞いていると、気になってしょうがなくなるのである。

昨日の「春告鳥」にしても、かなり長い間歌詞をろくろく聞いていなかった。
聞き取りにくい単語も多かったし、漂う情緒だけを楽しんでいた。
しかし、何度も何度も聞いているとだんだんと言葉の連鎖も気になり始める。
最初の部分がイメージできたとき、その言葉の力に驚いた。
そして、この歌の情緒にますます深く惹かれるようになった。

いまだに「春告鳥の問いかける別れに」という詩句が難問のままだ。
別れを言いだしたのは「その人」なのだが、
「その人」を「春告鳥」に喩えるのはどうも変だ。
「その人」は春の終わりを告げた人だから、「春告鳥」と呼んでは変だ。
だから、昨日書いたようなイメージになった。
その時、もう「その人」は去って、「私」が取り残されていてもいいのだが、
私は、まだ一緒にいる方のイメージを取る。


「春告鳥」よりも難解なのが、「飛梅」だ。
この歌は、最初はわかりやすい歌のはずだった。
故事も踏まえているし、本歌取りもしていて、おもしろいなと思ったものだ。
しかし、何度も聞いているうちに、だんだんわからなくなった。
これは何なの? という思いになる。
1番はわかりやすいのだが、2番のヒロインの姿がとらえにくいのだ。


        「飛梅(とびうめ)」
  心字池にかかる 三つの赤い橋は
  一つ目が過去で 二つ目が現在(いま)

これはまさしくん特有の比喩だと長い間思っていたけれど、
先日太宰府天満宮を検索して、実際の言い伝えどおりだと知った。
心字池にかかる御神橋は、太鼓橋ー平橋ー太鼓橋の連続する3つの橋で、
それぞれが、過去ー現在ー未来を表すと伝えられているそうだ。
その三世一念の橋を渡りつつ、水の禊ぎを受けるのだ、とまで書いてある。


  三つ目の橋で君が 転びそうになった時
  初めて君の手に触れた 僕の指

三つ目の「未来」で転びそうになるとは、、、不安な恋の行方である。
ところで、この2人の関係は、、?
初めて手に触れた、というところを見ると、これが初デートだろうか?
まだ始まったばかり、とバカにしてはいけない。
案外、このころが一番心が盛り上がってたりするものなんだ。


  手を合わせた後で 君は神籤を引いて
  大吉が出る迄と も一度引き直したね

けなげな姿だ。
このまま仲良くいられますように、と願ってやまない姿だ。


  登り詰めたらあとは 下るしかないと 
  下るしかないと 気づかなかった 天神様の細道

この2人のその後はそうだったみたいだし、確かにそうなんだけどさ、
でも、すべての恋がそうだというわけじゃないんだよ。
むしろ、だんだんはしゃがなくなる、と言った方がいいんだよ。
そうして、冷めるんじゃなくて、愛し方が変わるんだ。
・・・・これは余談だけど。。。


  裏庭を抜けて お石の茶屋へ寄って
  君がひとつ 僕が半分 梅ヶ枝餅を喰べた

妻はこの部分について、「餅を食べた」が詩になるんだから、、と感心する。
私も確かに同じように感心して、
「映画にしちゃうんだよね」と答えるけれども、さらに、
「僕」は、甘いものを好きでないのに、つきあって食べたんだな、と思う。
これも余談に過ぎないけど。。。


  来年も二人で 来れるといいのにねと
  僕の声に君は 答えられなかった

これが一番難解なところだ。
なぜ? どうして? どうして「君」は答えないの?
「君」は「僕」のことをそんなに想っていない?
いいや、そんなはずはない、、、大吉が出るまで神籤をひいたり、
このあとの歌詞の「君」を見る限り。。。


  時間という樹の 想い出という落葉を
  拾い集めるのに 夢中だったね君

  あなたがもしも遠くへ行ってしまったら
  私も一夜で飛んでゆくと言った

こんな強い思いを抱いているのに、なぜ、「来年も2人で来れるといいのに」
に、「うん」と嬉しそうに答えられないのだろうか、、?


  忘れたのかい? 飛梅

  あの日と同じ様に 今 鳩が舞う
  東風吹けば 東風(こち)吹かば 君は
  何処かで想いおこしてくれるだろうか
  太宰府は春 いずれにしても春

いずれにしても、もう別れてしまったのだ。
「君」は離れても飛んできてはくれなかったし、
「僕」は今ひとりで、初デートの天満宮を歩いているのだ。
「君」がいてもいなくても、梅の花の匂う初春は訪れるのだ。
「君」も同じ思いでいてくれるのだろうか、、、そんなことはちっともわからない。。。


さーて、、、難しい問題だ。
「来年も2人で来れるといいのにね」に答えられなかったのは、なぜ?
普通は喜ぶはずだ。
思いが浅いはずはない。

唯一私を8割方でも納得させてくれるプロットはこれだ。
2人が初デートで天満宮に来たのは、合格祈願のためだ。
しかし、彼の志望先は東京である。
彼の合格を祈りながらも、彼女には離れ離れになる恐れと不安がある。
もちろん、そうなったらついて行きたいが、そんなことは許されない。。。

これは今夜やっとこさ不意に思いついた。
こう考えれば、何とか彼女の矛盾は解決する。
しかし、割り切れない思いは相変わらず残る。


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