TENSEI塵語

2005年09月27日(火) 「檸檬」

昨夜寝る前に、さだまさしの「私家集」というアルバムを聞いた。
昔何度も聞いたアルバムである。
温かい歌が多いアルバムである。
そんな中で、「檸檬」という歌は、昔はわざわざ聞く歌ではなかったはずだ
が、なぜか昨夜は歌詞を聴きながら涙してしまった。
今回リニューアルされたこのアルバムには、
「檸檬」と「加速度」のシングル盤ヴァージョンも収められているので、
2種類の「檸檬」を交互に3度ほど繰り返し聞き直した。

長いこと聴く機会がなかったのだが、
スクランブル交差点を見るたびにこの歌を思い出したものだ。
この歌の中の女性が、スクランブル交差点で涙ぐんでつぶやく場面が
印象的だったからである。
1番の、食べかけの檸檬が快速電車の赤色とすれ違う場面と、
2番の、食べかけの夢を各駅停車の電車のレモン色がかみ砕く場面の対比も
印象的だった。
「捨て去るとき」と「消え去るとき」の心得も、印象的だった。。。
昔はこの歌を聴くのがつらすぎて、引いていたのかも知れない。
お茶の水は四谷から近いので、よく行った、だから、
この歌のイメージも、心の中の風景に近すぎるのだ。


       「檸檬」
  あの日 湯島聖堂の 白い石の階段に腰かけて
  君は 陽溜りの中へ 盗んだ檸檬 細い手でかざす
  それを暫くみつめた後で きれいね と言った後で かじる
  指のすきまから 蒼い空に 金糸雀(カナリア)色の風が舞う
   喰べかけの檸檬 聖(ひじり)橋から放る
   快速電車の赤い色が それとすれ違う
  川面に 波紋の拡がり 数えたあと
  小さな溜息混じりに 振り返り
  捨て去る時には こうして出来るだけ 遠くへ投げ上げるものよ


  君はスクランブル交差点 斜めに渡りながら 不意に涙ぐんで
  まるでこの町は 青春たちの姥捨山みたいだ という
  ねぇ ほら そこにもここにも かつて使い棄てられた愛が 落ちてる
  時の流れという名の鳩が 舞い下りて それをついばんでいる
   喰べかけの夢を 聖橋から放る
   各駅停車の檸檬色が それをかみくだく
  二人の波紋の拡がり 数えたあと
  小さな溜息混じりに 振り返り
  消え去る時には こうして出来るだけ 静かに堕ちてゆくものよ


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