TENSEI塵語

2005年08月13日(土) 「ターミナル」を見た

午後、時間が空いたので借りたDVDを見てみた。

実は、この映画の短いCMやポスターなどから先入観を抱いていて、
見始めてからしばらくの間は、いろいろと戸惑った。
まず、てっきり哀感漂う映画かと思っていたのに、喜劇なのに戸惑った。
ポスター(DVDケースのだけど)のトムは泣いてるじゃないかー。
しかも、てっきり誰かを待って自ら待ち続ける話かと思ってたら、
母国の国情激変のために、ビザが無効になってしまって入国不可となり、
そういう大がかりな事情のために、待たされてしまう話でもあった。

要するに、亡き父とのささやかな(本人にとっては大きな)約束を果たしに
ニューヨークにやってきて、立ち往生させられてしまうわけだ。
空港内に閉じこめられ、手持ちの金も使えない状態にありながら、
彼の立ち往生の半年間には、多くのドラマが展開する。
食べるための収入を得る工夫、スチュワーデスとのロマンス、
親友たちもできるし、空港内に働く人々からの信頼にも包まれる。
立ち往生し、先に進めなくなった彼の人生は、停滞しない。
それは、彼の人格の温かさのためでもあろうし、
何といっても、父との約束という、大きな〈目標〉があったためでもあろう。

彼は、違法行為の誘惑をはねつけて、合法になる日を待ち続けた。
誘惑にのってしまっていたら、約束は果たせなかったろう。
しかし、その合法の日も、権力からの脅迫によって阻止されそうになる。
それを救ったのは、空港での親友のひとりの犠牲的行為である。
彼はその犠牲を無にすることのないよう、勇気を出して空港を出る。
彼の目標である父との約束は、いとも簡単に果たせてしまう。
この半年間の苦労に比べれば、いとも簡単に果たせてしまうのだ。
しかし、彼の感慨は、空港で足止めを食うことなくそこに行った場合の、
何倍も深いものになっているのであろう。


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