| 2005年02月26日(土) |
「夏の香り」見終わる |
ヘウォンは少女時代からチョンジェと長く恋人同士で、 婚約しても当然な仲だったが、ミヌにどうしようもなく惹かれてしまった。 ミヌは3年前恋人のウネを交通事故で亡くしてその傷心を抱え続けているが、 ヘウォンに出会ってどうしようもなく惹かれてしまった。 実は、ヘウォンは少女時代は心臓病で闘病生活を送っていて、 心臓移植によって元気な体になったのだが、そのドナーはウネだった。 ヘウォンの心臓は、ミヌに会うたびにドキドキと高鳴り、 ミヌは、ヘウォンの言葉の中にいくつもウネの言った言葉を聞く。。。
この基本構造を知ったときに、私は結びつくべき運命なのだろうと思った。 チョンジェは、ヘウォンを何とか自分の方に引き戻そうとする。 そのチョンジェが1番先に、ヘウォンの心臓がウネのものだったと知る。 それを2人に知られまいとするのは、2人の出会いを決定的にするためだ、 と思いながら見ていた。 もう、2人がちゃんと知っちゃえば、日本の連ドラみたいに、 11回くらいで、ハッピーエンドで終わるはずなのになぁ、、と思っていた。
そんな感じで、第12話あたりまで、ヘウォンのすがすがしい笑顔と、 美しい風景で、薫り高いような情緒を楽しみつつ見ていた。
ところが、第13話、ミヌがヘウォンのドナーがウネだったことを知って、 それに悩み苦しみ始めてから、しばらくドラマの中に入れなくなった。 それをチョンジェから知らされたミヌの母親も衝撃を受け、 ミヌとヘウォンの結婚は絶対に許さないと頑なになる。 ミヌを好きなチョンアは、そのことを探り当てると、 ミヌとヘウォンを別れさせるための武器にしてしまう。 やがて、ミヌの先輩もヘウォンの先輩も知って、やはりショックを受ける。
登場人物たちのその感覚がどうにもよくわからず、しばし混乱してしまった。 ミヌは、ここにウネがいると知って、ヘウォンに近づいたわけではないし、 ヘウォンは、ウネのかつての恋人だと知ってミヌに恋したわけではない。 何も知らずに偶然に出会って、惹かれあっただけである。 そこにウネもいたのだとすれば、そんな幸福な話はないではないか。 まさに、〈後になって思えば、ウネの導きによって〉という図式である。 そんな「導き」なんてものは本来ないはずだが、 そういう心情的な意味は、あとからついてくるものである。。。 そんな感覚で見ていたので、第13話でミヌが知ったときは、 実は一瞬ほっとしたのだが、ミヌのその後の行動は予想に反した。 どの登場人物の反応も、ことごとく予想に反していた。。。
そういう登場人物たちの心情を理解するのに、 3〜4話、じっくり考えつつ見続けねばならなかった。 ミヌは実はヘウォンの中のウネを愛していただけかもしれないし、 ヘウォンがミヌを愛しているのでなく、 ヘウォンの中のウネがミヌを求めているだけなのかもしれない、という それが彼らの苦悩の内容であることはすぐにわかったのだが、 私自身が先に書いたような考えで見ていたものだから、 当の2人以外の人物も当然のようにそう考える事態が不思議に思われたのだ。
これは、私の感覚が浅はかなのだろうか? ドラマの登場人物たちのように悲劇的にとらえる方が普通なのだろうか?
日本のドラマを見ていても、疑問に思われる展開というものは時々あるが、 韓ドラを見ていると、疑問の程度が甚だしいことがある。 今回もそうだが、「秋の童話」でも不思議な感覚に出会った。 ジュンソとウンソが、兄妹でなくてよかったね、結婚できるよ、と思ったら、 兄妹のように育った以上は禁断の恋なのだと言う。 兄妹のように育ったといっても、少女時代までだし、籍からは抜けている。 それを、養女として迎えるのはいいが、嫁として迎えるのはもってのほかだという。 あの時も、ドラマの世界からしばし締め出しを食ったのである。
まぁ、そういう思いもかけぬ感じ方や考え方に接することができるのも、 20時間近くもかけてドラマを見る意義のひとつかな? と思う。
ドラマ全体は、ラストが安っぽかったし、 最初は精悍でスマートな感じのしたミヌが、 途中からじめじめした、言うべきことも言えぬ男に変わってしまったし、 チョンアはあまりにもぬけぬけとうるさすぎるし、 せっかくの美しい風景&音楽やヘウォンの美しい笑顔で作られる情緒を 損なってしまっているのが実に残念だった。 最終回でもっとも泣かせてくれたのはチョンジェだったかもしれない。
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