TENSEI塵語

2004年11月25日(木) 白鵬

大相撲の2週間は、帰りのラジオで相撲を聞くことが多い。
今場所の目玉は、魁皇が横綱昇進を賭けていることだったが、
私はほぼ毎日仕事帰りにラジオを聞いていて、白鵬の躍進が気になった。
先場所1度だけ見たが、やくざっぽい面構えが気に入らなかった。
取り口の方も、それほど印象に残るものではなかった。
その白鵬が、「日に日に力を伸ばすような成長ぶり」だと言う。
新人力士にはそういうことがしばしばある。
琴光喜も出島も雅山も、そんなじきがあったけれど、その後勢いを失った。

一昨日は休日だったせいもあって、夕方終盤のいくつがの取り組みを見た。
白鵬が、横綱昇進をめざす魁皇を破った。
その取り組みを見て、印象をがらりと改めた。
粘りもあるしなやかな動き。
相手の攻撃を真正面から受け止めながら、攻めに転じて行くしぶとさ。
その動きは決してバタバタすることなく、いい型を守っている。
千代の富士や貴乃花親子の相撲を連想させた。

貴乃花引退後、朝青龍の相撲は強いけれど、横綱的風格に欠ける。
これこそ相撲のお手本だぞ、というほどの風格がない。
一時期、若の里こそ横綱になってほしいと願った時期もあったけれど、
今ひとつ強さに信頼が抱けないまま何年かが経ってしまった。
これといった力士がいないなぁ、と思っている中に、白鵬が現れた。

昨日白鵬は、全勝の横綱朝青龍に勝って、若の里と共に3人、1敗を守った。
この勝負も上手い相撲だった。
しかし、きょうは不調の大関千代大海に負けて、若の里と共に2敗に下った。
ラジオでその模様を聞いていて信じられなかった。
昨日・一昨日のような取り組みをして、何できょうの相手に負かされるのだ?

夜中のNHKのダイジェストを見た。
千代大海の渾身の突っ張りをまともに受け続けても、下がりきらない。
最後に俵際で組んだ、、、そして、押されながらもうっちゃろうとしたが、
一瞬間に合わなかったような負け方で、決して一方的ではない。
しなやかな体の動きは、相変わらず発揮されている。

この19歳の新鋭力士は、相撲の新しい楽しみをもたらしてくれた。


 < 過去  INDEX  未来 >


TENSEI [MAIL]