TENSEI塵語

2004年11月13日(土) 痛快なブッシュ再選批判

今朝の朝日新聞の別冊付録版に載っていた島田雅彦の文章である。

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 秋に1ヶ月アメリカの中西部にいたが、1人もブッシュ支持者に会わなかった。アメリカ以外のどの国に行っても、また日本にいても、ブッシュ再選を望む人には一度も会ったことがない。数の上ではアメリカの有権者の半分はブッシュを支持していないにもかかわらず、あと4年間あの猿面を君臨させておかなけれなならないのだから、民主主義のなれの果てとしての衆愚政治もここに極まった。いっそくじ引きかジャンケンで大統領を決めた方がまだ諦めがつくというものである。さらにむこう4年間、「アホで間抜けなアメリカ人」というレッテルを背負わされる賢いアメリカの友人たちが気の毒だ。もうこんな国に住んでいられないと言い出す友人もいる。

 しかし、彼らに居心地のいいところなどアメリカ以外の何処にもあるまい。属国の日本はどうか、と勧めておいた。
 ところで、日本がアメリカの51番目の州になったら、実質、大統領選の行方を決めることになる。人口比から選挙人数を割り出せば、少なくともカリフォルニア州の3倍以上にはなるのだから、日本州を押さえた候補が候補が確実に大統領になる。もっとも、イラク戦争を容認し、自民党を延命させてしまう日本の有権者はアメリカ人並みに謎めいているので、今回の選挙の場合も、何も考えずに小泉を選ぶように、ブッシュを選んでいたかもしれない。

 ブッシュはアメリカの没落を加速させた功労者ニクソンと同じ轍を踏むかもしれない。ブッシュが2期目の怠慢を決め、財政赤字を増やし、弱者を切り捨て、オイルショックを招き、ドルを暴落させれば、結果的に4年後のアメリカはベトナム戦争後の70年代に回帰する。賢い納税者が反戦運動をし、新たな人権思想と政治と経済の倫理を広く社会に浸透させ、ブッシュによって失われた8年を深く反省するほか、アメリカに再生の手立てはない。世界はブッシュの失政とアメリカ市民の倫理に期待するしかない。
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