TENSEI塵語

2004年09月08日(水) 評論家の嘘

瀬戸内寂聴が、〈ヨン様ブーム〉についてこんなことを言ったそうだ。

「今の中高年女性が優しい男性を求めているってことがわかる。
 聞きたい事を言ってくれる、、、源氏がまさにそうだった。
 つまりヨン様は現代の光源氏である」

しばしばいいことを言う人だと思っていたが、これはひどい。あきれた。

日ごろから、冬ソナ・韓ドラブームについての論評を聞いたり読んだりして、
そういうもんかいなぁ、、と奇妙でしょうがない。
純愛への憧れ? 優しさへの憧れ? 日本のドラマにない?
あたかも、純愛ものに飢えているかのような論評が目につくけれど、
日本の最近のドラマにだって、純愛はいくらでもあるではないか。
そういうテーマが冬ソナ&韓ドラに特有なものとは思われない。
純愛に憧れながら、夫そっちのけで「ヨン様〜、キャーキャー」ってのも、
次元が違うかもしれないけれど、おかしなものではないか。

〈ヨン様ブーム〉についての私の解釈は、ごく単純なものである。

1、ミニョンの初登場シーンが衝撃的だった(初雪を仰いでいるシーン)。
  服装も、表情も、、そして、、、(後述)
2、その後のミニョンまたはチュンサンが切なく感じられた。
3、しかも笑顔がさわやかだった。

あとは、、?
いったん惚れ込んじゃえば何もかもよくなるものなのである。
それで社会現象になってしまうと評論家はこねまくった解釈するけど、
実際はそんな複雑なところからは見ていないものである。

いいドラマでいい役をもらえるかどうかは、俳優にとって実に大きな問題だ。
「スキャンダル」は、多くの女性が並んで待って見たそうだが、
もしもヨンくんの日本でのデビューが「スキャンダル」だったら、
映画館は閑散とし、〈ヨン様ブーム〉などありえたかどうか、、?
冬ソナのヨン様主演だったからこそ、多くの女性が並んだのだ。
俳優の持ついくらかの魅力を、役柄が光らせるのだ。

上述の1、ミニョンの初登場シーンについても、
単にヨンくんの映像だけでなく、それを見て、その場に立ち尽くし、
端って探し回るユジンの姿が、ヨンくんの魅力を増幅しているはずである。
2、の切なさについても、ドラマ全体の、個々の登場人物の切ない思いが、
ミニョンまたはチュンサンの切なさを増幅している。
3、の笑顔にしたって、ヨンくんの笑顔をいきなり見るのと、
切ない雰囲気が漂う中で見るのとではぜんぜん違う。
こんな風にして、ヨンくんの姿は多くのおばさんたちの心に焼きついたのだ。
そして、、、いったん惚れ込んでしまうと、何もかもよく見えるものなのだ。


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