きょうの「白い巨塔」では、原作と違い、再び里見くんが最後の証言をした。 財前くんの弁護士が、手術をせずに化学療法にしたところで、 1年か2年の延命にしかならないことを強調しようと懸命だ。 里見くんは、それを認めた上で、こう語る。
「確かに(癌による)死は避けられないものだったでしょう。 しかし、、、心の準備のないひと月と、覚悟の上で過ごす1年、、、 この違いは、患者の人生にとってあまりにも大きいのではないかと、 私には思われます。 人は皆、いつかは死ぬものです。 医療の現場で大切なのは、その死までの期間を患者がどのように生きるか、 医師がそれをどのように手助けできるか、ということに尽きると思います。 今回のケースでは、佐々木庸平さんが、残された時間をどう過ごすかを、 自分で決めるようにすべきでした。 責任は財前先生ひとりではなく、結局は、彼の独断を許した私や、 大学病院のあり方そのものにあると、私はこの裁判を通じて感じています」
このセリフは、もちろん30何年も前に書かれた原作にはないはずである。 いかにもこの裁判をしめくくるにふさわしい言葉であると同時に、 里見くんがドラマの中で一貫して見せていた態度の表明にもなっている。 彼は、苦境に立たされても、本質を見失わない。
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