TENSEI塵語

2003年08月10日(日) 「屋根の上のバイオリン弾き」

昨夜、「屋根の上のバイオリン弾き」のDVDが目に入った。
橋本さんから昨年から借りっぱなしだったのを、
忘れていたわけではないけれど、なかなか強く意識が向かわずにいたのだ。
なんとなく、見るのがこわい、というような心情も働いている。
他の人はどうかわからないが、私にはよくある心情で、
そのためにまだ見るのをためらっている映画がいくつもある。

昨夜は妙に見てみたいという気持ちに動いた。
11時半回ったところだから、2時ごろ見終わるだろう、
とにかく、「サンライズサンセット」を聞こう、、というわけで、、、
意外と長くて、休憩つきの映画で、3時近くまでかかった。
長いし、ちょっと冗漫かな?と思わせる部分もあったけれど、
少しも退屈することなく、楽しく、そしてもの哀しく見ていた。

カメラワーク、というか、画面構成がよくできている。
風景もいいし、まず映像に引き込まれる。
歌と踊りの部分も、映像のうまさもあって、たいへん楽しい。
「サンライズサンセット」が意外にも1回しか歌われないし、
BGMとしても活躍しないのはちょっと拍子抜けだったけれど、
初めて聞いても魅力的な歌や舞曲が多かった。
オープニングタイトルからして、不思議な魅力である。

もっとも嬉しいのは、父親テビエが、娘の恋愛を認める展開である。
アナテフカ村の秩序を支えてきた(と信じられている)伝統を
守ろうとしながらも、娘の眼差しを信じ、娘の幸福を第一にしようとする。
貧しい生活の中で、裕福な家との縁談を切望しつつも、
長女は貧しい仕立屋と結婚し、次女は反体制運動家と婚約して
彼が投獄されたシベリアの収容所に旅立ち、
三女は、迫害する側であるロシアの将校と駆け落ちする。
子供の縁談は親が決めるという伝統に強く支配されながらも、
結局は娘たちの思いを尊重し、伝統的な幸福ではないながらも、
娘たちにとっての幸福な結婚というものを認めようとする。
貧しい牛乳売りとして、ユダヤ教信者として、
そして、とりあえず平穏なアナテフカ村の一村人として、
幸福な生活を求めているテビエも含め、
それらは、つつましい幸福を懸命に求めている姿なのだ。

娘たちの恋愛は、新しい時代の流れを象徴している。
けれども、新しい時代の流れは、
アナテフカ村のユダヤ人たちの平穏も脅かしていく。
彼らは村からの退去を命じられ、各国に散って行く。
荷車を引いて、放浪の旅のように村を出て行く村人たちを見ながら、
つつましい幸福を世界のほんの片隅で営んでいた彼らを、
なぜ迫害しなければならないのかという思いが突き上げてきた。
(迫害される背景が何なのか、映画だけではよくわからない)

エンディングタイトルは、「サンライズサンセット」の
バイオリン独奏だとよかったのになぁ、、、と、残念!


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