山崎豊子の「沈まぬ太陽」5巻の第1巻をまず読み終えた。 この文庫本を、前任校に出入りしていた本屋に注文したのが去年の夏休み前。 去年の夏休みに読むつもりだったのが、なかなか納品してもらえなくて、 やっとこさ持ってきてもらえたのが、今年の初めである。 それから、なかなか読み出すきっかけがなくて、 ずっと本棚に並べられたまま放っとかれていた。 「白い巨塔」「華麗なる一族」「不毛地帯」「二つの祖国」「大地の子」と どれも長いながら夢中になって読んだので、 多忙と衝突することなく読みたくて、その機会を待っていたのだ。
夏休みといっても、いろいろと抱えているために 長時間集中して読むことはなかなかできないのだが、 細切れに中断してまた読み継いでも、すぐに作品の中に入り込めるのは、 いつもながらの迫力ある筆致のためだろうか。 それに加えて、これもいつものことだけれど、 興味深い実態をいろいろと如実に伝えてくれる。 今回は、まずケニアでの象狩りの場面から始まり、 ケニアの生活、ライオン狩りの様子が描かれ、 話が過去の思い出話になると、今から40年ほど前の労働組合の実態、 反体制派組合潰しと御用組合結成の模様、 それからパキスタンのカラチの生活、、、 そしてて第2巻に入って、イランのテヘランでの生活が描かれ始めている。 主人公恩地元は、意に反して組合委員長の座について、 それまでの組合とは異なる労働者の側に立った運動を展開した罪で、 「海外流刑」に処せられているというわけである。
この作者の取材力にはいつも驚かされる。 しかも、それを興味本位に悲惨な現実として報告するのでなく、 常にそこに正義の人、誠実の人が生きているのがうれしい。
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