たりたの日記
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2007年08月24日(金) |
ハプニングの末、徳島から愛媛へ |
23日、目的の剣山行きを果たし、予定通り、見ノ越発14時15分のバスに乗り込む。このバスにまた2時間25分ほど揺られ、山から平地へ。 ここまでは計画書通り。ところが16時41分に穴吹駅に着いてみると、事故のため高徳線の下りが動かず、見通しも立たないとの事。 いっしょにバスで降りてきた大阪からのおじさんは、今日のうちに岡山まで行かなければならないからどうにかしろと駅員に食ってかかっている。駅は足止めを喰らった人達で溢れているが、土地の人は文句を言うでもなく、電車が動き出すのを待つ覚悟のようだ。
計画では17時12分のJRで辻駅まで行き、そこから高速バスの乗り場になっている吉野川ハイウェイオアシスにタクシーで行き、そこにあるらしい美濃田の湯で最終の高速バスに乗るまでのんびりするという優雅なプラン。あれこれ調べて、やっと見つけた良い方法だった。まさか、こんなハプニングが起って、目と鼻の先の駅まで辿り着く事ができなくなるとは・・・ さて、こういう場合、ネットの環境もないところではどうにもならない。しきりに地図を見てみるが、高速バスの乗り場に近い温泉は見つけられない。JRで徳島に戻り、そこから松山行きの高速バスに乗れば、温泉には入れず、時間もお金を浪費するだけ。こうなればここから一番近い高速バスの乗り場へタクシーで行こうと心を決める。脇町インターは駅からそれほど遠くはないはず。
タクシーに乗ってすぐ、高速バスの営業所に携帯からバスの通過時刻を聞くと1時間30分も道路端のバス停に佇んでいなくてはならない事になる。頭には今夜浸かるはずだった温泉がちらつく。こんなところでじっと待ってるよりは温泉に入りたいよ〜。運転手さんに、ここから一番近い温泉に連れて行って下さいと思わず頼んでしまった。「土柱温泉という有名な温泉がありますよ」と運転手さん。ガイドブックや地図にはなかったと思ったが、彼にいわせれば超有名だという。それならばそこへ。 運転手さんも温泉の場所は良く知らないのか、無線でしきりに情報を集めている。で、かなり奥へと入って行き、タクシーのメーターは3000円を越えた。ひやひやしているとようやタクシーが止った。
降ろされたところは「土柱ランド新温泉」というなんだか鄙びた宿。ラドン温泉と看板があるから、どうやら天然温泉ではないらしい。今はやりの日帰り温泉を考えていたから当てがはずれてしまった。店の人に聞くと、本物の土柱温泉はまださらに山奥に入っていくという。今夜のうちに愛媛県の東温市に住む友人のところへ辿りつかなければならないのだが、夜の8時過ぎ、タクシーもつかまらないような場所で高速バスのバス停まで辿り着く自信はない。
店の人は、高速バスなら目の前の阿波パーキングから乗れると言う。それならラドン温泉でもなんでも良いからここで汗を流し、食事も取る事にしようと心を決める。わたしよりも少し若そうな女の人が「おひとりで大変ですね〜」と同情の眼差しでわたしを見ている。確かに帰りのバスにちゃんと乗れるかどうか、いくらか心細くはあるけれど、これもまた一人旅の楽しさなんだけどな。なかなかこの心境は分かってもらえない事だろう。
明るい内に高速バス乗り場を確認するべく、店のだんなさんらしい人に道を尋ねると、すぐ近くのバス乗り場は大阪へ行くバスで、松山へ行くバス乗り場はもっとむこうだという。わたしが顔を曇らせていると、その人が、「まぁ、お風呂に入ってきなさい。どうしてもの時は送ってあげるから」と言ってくれる。多少の不安は残るものの、いくぶん心は軽くなる。
ラドン温泉は、こじんまりしたお風呂だったが、露天も、サウナもあり、備え付けのシャンプーがなくてちょっと困った他はとても気持ちの良いお風呂だった。はじめのうちはわたし一人で貸切風呂だった。 ゆっくりお風呂に入り、山菜定食を注文する。辺りはすっかり暗くなっている。ここはもうずうずうしく、さっきの店の人の好意に甘えようと車で送ってくれるようお願いする。
車を出してくださったのは年配の女の人だった。聞けば、この宿のおかみさん。ひ孫が大阪から遊びに来ているというからわたしの母くらいの歳なのだろうが、ずいぶんしっかりした感じの方で、美しいおばあちゃんといった感じの人だった。 わたしが恐縮していると、こんなところ一人で歩くのは良くないですよ。バス停もさびしいから、バスが来るまでいっしょにいてあげましょうと、車から降り、いっしょにバスを待つベンチに座って下さった。 バスを待つ10分ほどの間、その方から、この土地が土柱で有名な観光地で、昔はこの宿しかなかったという事。また土柱に案内し、土柱がいったいどんなものなのか、ボランティアで土柱の観光案内をしてきた事などいろいろと興味深い話を聞いた。
その方はわたしが高速バスに乗り込み、料金を払って席に座るまで、ずっと窓からこちを見ていて下さった。バスが走り出す時にはまるで母か友達のように手まで振って下さって・・・この風景は、今日のハプニングの時の心細さと共に、決して忘れる事はないだろう。
高速バスの中では携帯の目覚ましをセットし、ただただ眠った。あっという間に幼馴染のSが迎えに来てくれる事になっている川内インターにバスは到着した。 バス亭にはSの他に、やはりふるさとの教会でいっしょだったkさんも来てくれていた。今抗癌治療をしている最中で、体調も良くないのだろうが、そんな中でわざわざ来て下さったのだ。
翌日、24日はSが松山市内のいろいろなところへ連れて行ってくれた。キャンプ指導員を務めるSの活躍している松山市のキャンプ施設。道後温泉、 正岡子規記念館、Sのお勧めの「ジャングル風呂」などなど。帰りに翌日の朝食や山行きの行動食や飲み物などを買って家へ。
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