たりたの日記
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2007年03月03日(土) |
東北旅日記1 蔵王の樹氷林をかんじきで歩く |
3月3日から3日間の東北への旅。 初日はJRの駅からハイキングの企画「かんじきで挑む山形蔵王ホワイトモンスター」に参加する。
大宮発6時54分のつばさ101号は9時13分に山形駅に到着。 40名ほどの参加者やスタッフの方々と蔵王温泉バスターミナル行きのバスに乗り込む。バスから降りたところで、かんじきを手渡されるが、かんじきは見るのも付けるのも初めてのこと。 温泉駅からロープウェイで鳥兜駅まで。 インストラクターからかんじきの履き方を教えてもらい、足にしっかりと固定する。 そこからリフトでザンゲ坂樹氷原へ。 かんじきは優れもの。 ふかふかの雪の中も難なく歩くことができる。
この日は天気が良く、山頂の気温も6度と高い。 本来なら真っ白なモンスターたちが立ち並んでいるはずだが、すでに樹氷は溶け始めており、つららがまるでモンスターの鼻水のように垂れ下がっているのだった。 けれど、この時期にしか観られないつららはおいしいのだとインストラクターが言う。 このつららをぽきんと折って食べてみた。 確かにおいしい。喉がうるおって気持ちが良いのだった。 なにしろ、手袋も必要ないほどの暖かさなのだ。 わたしなどはフリースのインナーに薄手のジャケットだけだったが、それでも汗ばんだ。 ダウンも雨具もザックから取り出す必要はなかった。
真っ白な雪はなだらかな曲線を描いている。 誰も踏み込んでいないまっさらな雪の表面に動物の足跡を見つけた。 うさぎ、かもしか、きつねの足跡に出合った。 この真っ白な樹氷林の中に動物たちが生活しているのだ。 歩いていると上からころころ小さなマカロンのようなものが転がってくる。 これはうさぎのうんちなのだそうだ。 雪の中だと足跡も糞もただただかわいい。
ここは、イロハ沼。沼の上に雪が積り広い平原になっているということだった。向こうに見えるのは熊野岳(1841m)、蔵王山の主峰。 およそ2時間のかんじきウォーク、午後1時半にはロープウェイの駅に着き、その後は蔵王温泉プラザで入浴。 16時40分のバスで山形へ駅へ戻った。
そもそも、この東北への旅は、「真っ白な雪を見たい!」ということから計画したのだった。探してみれば、こういった雪の中のトレッキングが、あちらこちらの観光協会の主催で企画されていることも分かった。東北は遠いというイメージがあったが、新幹線を使えば、日帰りで雪の中に遊ぶことだって可能なのだ。
けれど、なぜ雪の中に出かけたいと思うのだろう。 また雪の中では子どもに帰ってしまったように、ふつふつとワイルドな気持ちになるのだろう。雪の中を歩くというそのことが、心から嬉しくて、顔が自然に笑えてくるのだった。
インストラクターの吉田さんは「かんじき履いて雪の中を歩けば病みつきになりますよ」と目を細めて何度も言ってらした。実際、お仕事柄、しょっちゅう、たくさんの人を連れて、この雪歩きをするのだろうが、その事が楽しくてならないという様子だった。
真っ白などこまでも続く雪野原、そこに陽の光が当たれば、まるで宝石をちりばめたように表面がきらきらと光る。 そして確かに、この白さには力があると感じたことだった。
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