たりたの日記
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2006年10月13日(金) 10月の大菩薩嶺へ

急に思い立って、大菩薩嶺へ行ってきた。
前日に地図付きのガイドブックを求め、ネットで路線や山についての情報を集める。
仲間と行く山であれば、とにかく集合時間と集合場所さえ分かれば、後はついてゆくだけだが、一人で行くとなるとそうはいかない。困った事にならないようにできるだけの情報を集め、シュミレーションしなくてはならない。そこに起こる緊張、そういうものも含めて、ひとりで出かけることには言い難い魅力がある。






















さて、今夜も遅いが、続きを書こう。今日も新しい出来事があり、そうすると昨日の山の事も、もうぼんやりしてしまう。ここに書かない内には旅も終わらないのだから。

まずは日程。
朝6時、家を出て、6時15分のシャトルで大宮へ。
大宮〜武蔵浦和〜西国分寺〜立川と乗り換え、立川から塩山(えんざん)までJR特急あずさに乗る。
8時53分、塩山到着。

さてここで第一の関門。タクシーの相乗り者を見つける事。
塩山から登り口の上日川峠まではタクシーで行くのだが、タクシーは45分、5000円とかなり高い。しかし、ここで相乗りしてくれる登山客をつかまえる事ができれば、それが半分とか三分の一とかで済む。
果たして相乗り者は見つかった。しかも5人で一台のタクシーに乗れるという運のよさ。5000円の予算が1000円で済んだ。
この時、ごいっしょした方々とは雷岩で再会し、いっしょにお昼ご飯を食べる。またそのうちの一人の方とは、登山口までの帰りの下りでもお会いし、いっしょに歩くことができて心強かった。






















この日のコースは

上日川峠(かみにっかわ)→福ちゃん荘→大菩薩峠→賽の河原→神部岩→雷岩→大菩薩嶺→雷岩→福ちゃん荘→上日川峠→千石茶屋→裂石(大菩薩登山口)

上日川峠を9時45分に出発。タクシーでいっしょに乗り合わせた方と別れ、一人で気儘に写真を撮りながら歩くことにする。しかし歩き始めると、熊の事が気になり、山小屋に戻り熊よけの鈴を買うことにした。
お金(400円)を払いながら「このあたり、熊が出るんですってね〜」と山小屋のオーナーらしい人に言うと、
「そうじゃないんです。熊がいるところに人間が出かけて行ってるんですよ。そこを間違えないでください」と諌めるように言われた。
あぁ、この人はこの山を、そこに生息する動物ともども愛しているんだなぁと思った。そう、熊やリスの居る場所に入らせていただくのだ。人間がおじゃまするのだ。
「大地は人間のものではなく、人間が大地に属するのだ」というネイティブインディアンのシアトル酋長の言葉を思い出した。






















紅葉の林を歩く。山の中のひとりっきりという時に心に起こる、じわじわと染み渡っていくような、自然に笑みが広がっていくような喜びの味わい。
しかし、そのくせ、茂みのガサガサっと音がするとびくりとするし、「単独登山はやめましょう」などという立て札を見ると、心細くもなる。
10時45分、大菩薩峠で行きのタクシーでいっしょだった方を見かけた時にはなんだかほっとした。写真も撮っていただくことができた。その後はまた自分のペースで景色の良いところに来ては立ち止まって写真を撮りながら行く。






















大菩薩領までは峠から一時間弱。大菩薩嶺は2057mで、この辺りでは一番高度が高いが、頂上は潅木の中にあるので、眺望は臨めない。そこから雷岩に戻り、昼食の休憩を取ることにする。そこにはいくつかの登山グループがあり、朝ごいっしょした3人のパーティーの方も、また大菩薩峠で写真を撮ってくださった方もそこでお弁当を食べていたので、わたしもその側に座り、山の情報などをいろいろと交換しながらいっしょにお昼にする。


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帰り道。ガスが出ていて眺望が臨めそうにないので、もと来た展望の良い道を歩くのはやめて、唐松尾根を辿って上日川峠まで。そしてタクシーには乗らずに、裂石の登山口まで下山した。
唐松尾根の真っ赤な紅葉はひっそりと美しい。写真を撮っていると、先程顔を合わせた方が、熊よけ鈴を鳴らしながら歩いていらした。そこから登山口まで、さらに「大菩薩の湯」まではいろいろ話をしながらいっしょに歩く。
そういえば、山で出会った知らない方と話をしながら歩くというのは初めてかも知れない。
「山の本」の編集をなさっているSさんが、山で出会う人達と親しく話しをし、山行記の原稿依頼をし、それを一冊の本にまとめられたことを伺い、そんな繋がりが保てたらいいなと思っていたのだった。

3時半、「大菩薩の湯」に到着。疲れた足に温泉がたいそう心地よかった。
予定よりも早く下山できたので、温泉に1時間以上入ることができてしあわせだった。
温泉の前を5時13分発のバスでJR塩山駅へ。この公営バス、駅まで25分乗って、わずかに100円。タクシーだと3000円くらいかかるから有り難い。

塩山発17時53分の高尾行きの電車に乗り、21時30分、帰宅。


たりたくみ |MAILHomePage

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