たりたの日記
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大分の実家へ来て16日目。明日ようやく埼玉に戻る。母の事は気にかかるが、ひとまず戻って様子を見る事になった。
こちらに居る間に読む本をいろいろ持ってきていたが結局、沢木耕太郎著「凍」を丁寧に再読する事に終始した。 二度目を読み終えた今日、はじめに読んだ時よりもさらに深い充実感に満たされている。
この漲るような気持ちはどこから来るのだろう。
ヒマラヤ高峰群の中の未踏の山ギャチュンカン北壁に挑む、山野井泰史、妙子夫妻の登攀の記録。 想像の及びようもない、死闘、極限の中で、二人はけっしてパニックに陥る事なしに、大きなもの(それは彼らにとっては自然そのもの、山そのものなのだろうが)に我が身を委ねている。
死すらもそこに委ねた上での死闘は読んでいて息苦しさはない。 そして挑戦も、闘いも、それは他でもない、自分自身に向けられたものだという事がひしひしと伝わってくる。
その全身全霊で自己と闘う姿は、 そういう極限に置かれる事のないわたしにも、生きる上での大きな勇気と深い示唆を与えてくれる。
自分に与えられた命をじっと見つめて天を仰ぐような気持ちになった。
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