たりたの日記
DiaryINDEX|past|will
2006年01月12日(木) |
「ロックの心」という本がある |
さて昨日の続き。 まずは「ロックの心」という本のことを話たい。この本には(1)(2)があり、<ロックで英語を>という副題がついている。著者はアラン・ローゼン/福田昇八。大修館書店。
この本は実はわたしが探し出して求めた本ではない。 結婚して数年経った頃、里帰りした際に父親の書架にあったのを見つけた。 20年以上も前の話。 ロックも英語も父親にはまるで縁がないはず。かつてフォーク、ロック少女だったわたしも当時は赤ん坊を抱え、子育てだけしか眼の前にない時期。わたしのために買った本とも思われなかった。
「お父さん、この本、どうしたの?」 「あぁ、新聞で熊本大学の先生達が書いた本ということで紹介してあったから注文したんだ。」 父らしいと苦笑する。父はその頃熊本単身赴任をしていたから地元の新聞でこの本の紹介文を読んで感銘を受けすぐに本屋に注文したのだろう。おそらくは、英語をどう若者に学ばせるかみたいな教育者の苦労や工夫が父の気持ちを動かしたに違いない。
開いてみれば、ビートルズやサイモンとガーファンクル、キャロル・キングなど、かつて夢中で歌ってい歌たちが解説や訳詩、またそこで使われている英語の構文やその練習のための応用文までカバーしていた。きっと大学の授業で用いた教材をもとに本にまとめたものなんだろう。確かにこれなら若者が英語を楽しく興味深く学ぶことだろう。しかし、ロックも英語も日常に入り込む余地のない日々にいたわたしはその本をそのまま書架に戻したのだった。
この本を父からもらい受けたのはそれから10年以上経って、アメリカでの生活を終え、中学生に英語を教えていた頃。その中からいくつか取り出して教材に使ったものの、幼児や小学生ばかり教えるようになるとまた書架の隅で眠ることになった。そうしてこの本がようやく日の目を見るようになったのは去年から英語の歌のクラスを持つようになってからのことだ。
単にロックだけでも、単に英語だけでもないこの本の視点はわたしが求めるものに実にぴったりだ。ロックの心を英語を通して味わう。そしてまたロックの詩を教材にして生きた英語表現の練習をする―。
さて、長々と書いてしまったが、昨日英詩だけアップした「コンドルは飛んでゆく」の翻訳をこの本から引用しよう。
ちなみに、この歌の意味も深いが、 I'd rather be A than B , <私は A より B になりたい>の構文を「使える」ように練習するにはまたとない良い教材だと思う。
父が元気だったらこの本がいかに良い本か、感謝と共に伝えたいが、アルツハイマーを煩って施設にいる父にはもう伝えることもできない・・・それでも心では何度も繰り返す「ありがとっ、おとうさん!」
<コンドルは飛んでゆく> ポール、サイモン 詩 アラン・ローゼン/福田昇八 訳詩
1・カタツムリよりはすずめになりたい、 そうだ、なりたい。 できるものなら ぜひそうなりたい。
2.釘より金槌になりたい、 そうだ、なりたい。 できるものなら ぜひそうなりたい。
3、遠くへぼくは飛んで行きたい 自由にとびかう 白鳥のように。 人間(ひと)は大地につながれゆき この世に立てる 悲しみの極みの音 悲しみの極みの音
4、街よりは森になりたい、 そうだ、なりたい。 できるものなら ぜひそうなりたい。
5、大地で足を感じていたい そうだ、そうしたい。 できるものなら ぜひそうしたい。
|