たりたの日記
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2005年08月20日(土) |
ザッとくる雨もよきかな茶臼岳 |
昨日から今日にかけて、同居人とわたしは、ダンスチームの那須合宿に参加した。 合宿という響きはいい。中年の我々にはおおよそ縁がない、遥か昔の青春時代の言葉だ。けれど、昨日は、青春時代に帰ったような楽しさがあった。飲んで踊って吐いてさらに飲んで踊るなど若い頃でさえやったことはなかった。
合宿のスタートは茶臼岳行きから。山隊は合宿参加者24人の内、16人。7歳から65歳までという幅の広い年齢層。ちなみに我々は2番目と3番目に年長という事になる。
那須山麓駅から1時24分のロープウェイに乗り込み、わずか3分ほどで、標高1690mの山頂駅へ到着。ここはすでに茶臼岳の9合目近く。思ったよりも大きく、どっしりとした山がすぐ目の前にそびえている。そこから臨む、スパンと開けた感じが清清しい。
活火山の茶臼岳は、ちょうど阿蘇山のように、木々も草もない火山礫を登ってゆく。はじめはざらざらとした砂礫の斜面を登りで、そのうち登山道はごつごつとした岩石となり、浮石に気を付けながらよじ登るといった感じで進んでゆく。 ほどなく山頂。 生憎の曇りで周囲はガスに覆われてはいたものの、それでも山からの眺めはすばらしく、何より、茶臼岳そのものがとても美しい山だった。
阿蘇の時の一人の山も良かったが、こうして大勢の仲間といっしょに登るというのも心楽しく得難い体験。小学1年生のMちゃんも、3年生のAちゃんも、先頭をお猿のようにすいすいとよじ登っていく。最年長者のKさんも、始めは登らずにロープウエイのところで待っていると言っていたが、何の支障もなく山頂へ。
しかし、山頂に着くやいきなりの雨。 そこでお昼のお握りなど食べる予定だったが、集合写真をカメラに収めるのがやっとで、そのまま下山。 始めはぽつぽつだった雨はじきに雷を伴う、スコールのようなどしゃぶりに変わる。わたしは上だけは雨具を着たので濡れずにすんだものの、下はズボンもトレッキングシューズもじゅくじゅくに濡れる。 メンバーの多くは雨具の準備がなく、みんな濡れ鼠となって下山。それでいて「この雨がいいね」「なかなか出来ない体験をしてるね」とあくまでポジティブ。
ロープウエイは雷のため運転を見合わせているので、我々は他の多くの登山客とともに、しばらく駅に閉じ込められる。各自お握りなどを食べ、3時半頃運転を開始したロープウエイに乗り込み、ようやく駐車場。合宿場になっている 貸し別荘へ。 ずぶぬれになって散々なはずなのだが、みんな晴れ晴れとしている。 雷はちょっと怖かったが、山で雨に降られるのも、なかなか良いものだったと思える。
後日、Nさんの日記を読んでいて、甦ってくることがあった。 それは、山頂の手前、朝日岳を横に見ながら上っていた時のこと。 「あっ、音が無い!」 とNさんが言った。 瞬間、はっとするような完璧な静寂の中にストンと落ちるのを感じた。 無音の音とでも言えばよいのだろうか。 その「無音」を掴んだ瞬間、さっとかき消えてしまったのだが、それ故に、それがやってきたことを知った。あたかも何かの啓示のような「なにか」は身体の深い部分に降りてきて、今でも留まっている。
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