たりたの日記
DiaryINDEX|past|will
| 2005年01月02日(日) |
飫肥を通って北郷温泉へ |
今日はみなで飫肥経由で宮崎のえびのに次ぐ温泉地、北郷へ行き一泊する事になっていた。
飫肥(おび)は今放映中のNHK朝の連続ドラマ「わかば」の舞台になっているらしく、観光バスが乗り入れ、いくつものツアーや団体客で今までにない賑わいを見せているようだった。残念な事にわたしはそのドラマを見た事がないので、その土地に来ていることの有り難味にやや欠けていたかもしれない。
ところが、この日泊まった北郷フェニックスホテルではなんとも有り難いサプライズに遭遇したのだ。
温泉に入り、食事を済ませ部屋に戻ろうとエレベーターに乗ると、たまたま乗り合わせた人が、ロビーでやっているバンドのライブでサザンのドラマーの松田がドラムを叩いていると興奮気味に教えてくれた。
サザンというのは我々にとっては特別のバンドだ。彼等がわたし達と同世代という事もあるが、元メンバーの大森くんは同居人と中学、高校の同級生。家に遊びに行った事もあるという。松田くんは大森くんの友人という事だった。学生バンドからスタートした彼等はしかし今や国民的ミュージシャン。いくら出身地とは言え、田舎のアマチュアバンドとの共演などまずは考えられないと同居人。だってギャラが半端じゃないはずだと。
半信半疑で、急ぎロビーへ。ドラムを叩いていたのは紛れもない松田くんその人だった。地元のバンドのメンバーとは古くからの知り合いらしかった。いわゆる友情共演なのだろう。プログラムには飛び入りとだけで、松田くんの名前はない。あくまで彼は脇役に徹し、地元との旧友とのセッションを楽しんでいる様子、その力が抜けた、しかし確かなプロの音はやはりわくわくするものある。
わたしたちが思いがけない音楽のお年玉を喜んだのは、言うまでもない。 ついでにホテルのロビーにずらりと並んだ地元の酒屋の本格焼酎の試飲をする。この日の午後、同居人と義姉といっしょにジョギングをした時に偶然見つけた焼酎工場(?)で作られている焼酎だ。無月、飫肥杉、天使の涙だったか、10種類ほどの焼酎が試飲用に置かれていた。義姉とわたしがおもしろがってあれこれ飲んでいると、同居人がいいかげんにしろと言って、飫肥杉というのを一本買った。 部屋に帰って、義姉も呼んで、手に入れた焼酎で宴会。
酒のことしか書いてなかったが、そのホテルは小高い丘の上にあるので、辺りの山塊や北郷の町並みはおろか、幾重にも重なる山並みの先、遠く油津の海まで見渡せる露天風呂があり、温泉の質もなかなかのものだ。正月用の懐石料理はひとつひとつが美しく趣向を凝らしてあって、趣のあるものだった。こういうゼイタクは我々にはついぞ縁がなかったが、今回は久し振りに正月に帰省した我々を歓迎しての義父の心からのもてなしだった。 なんだか、放浪の果てに無一文で戻ってきた放蕩息子をすばらしい料理で歓待する父親の物語を思い浮かべる。在り難いことだと思った。
|