たりたの日記
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2004年07月23日(金) |
オスカー・ワイルドの「サロメ」を読む |
今日も高速バスでつくばへ行ったのだが、 月末の金曜日とあって、高速道路が渋滞しているらしく、八重洲南口のバス乗り場で、なんと40分待った。この暑さの中、外に立ったままで。 こういう時、没頭できる本が手元にあると救われる。 行きの電車と、このバス待ちの間に、文庫本を一冊読み終えた。
読んだ本は、オスカー・ワイルドの「サロメ」、先ごろ、話題になったフラメンコ「サロメ」の原作らしいが、もともとは新約聖書に出てくる話。 イエス・キリストの従兄にあたるバプテスマのヨハネは荒野で野蜜とイナゴを食物にしながら、人々に教えを説く預言者。ヨハネは当時のユダヤの王ヘロデが兄の妻ヘロデアを自分の妻と した事を非難したことで、牢獄に閉じ込められるのだが、ヘロデアの娘、サロメがヘロデ」王の前で踊りを踊り、その褒美に獄中のヨハネの首を所望し、ヨハネはこのサロメの望みによって命を落とす。
ワイルドは、1893年にこの聖書の物語を題材にした「サロメ」を、一幕による悲劇の脚本として出版している。彼独特のイマジネーションが創り出したおぞましくも美しい物語。サロメのヨハネに対する屈折した愛のかたちが印象的だった。
「ああ、あたしはとうとうお前の口に口づけしたよ、ヨナカーン、お前の口に口づけしたのだよ」
この劇の最後、銀の皿に載せられたヨナカーンの首をささげ持つサロメの独白。サロメを演じる役者は、この台詞をどのように語るのだろうかと興味深い。
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