たりたの日記
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2004年03月31日(水) 上野へ

雨が今にも落ちそうな昨日、
Fと連れ立って上野へ行く。
花見に行ったわけじゃなかった。
ついでに花も見たけれど。

Fというのは子育ての時からの友で、
そしてここ2年ばかしは、ジム仲間で
けれど彼女はプールしか行かないし
あたしはスタジオしか行かないから
たいてい会うのはサウナ
で、文字どおり裸のつきあい。
たまには服着て、文化的であろうよと
古代ローマ彫刻展を見にゆくことにしたのだ。

ヴァチカン美術館から持ってこられた彫刻たちには
時を経たものが持つ犯しがたい力があって、
今のものにはない、ひとつのエネルギーに圧倒された。
Fもわたしもいっとう気に入ったのが
ユリウス・カエサルの肖像で
溜息をつきつき見入っていた。

「いい男だよね〜」
「若い男しか認めないとこだけど、これなら許せる」
「これはでも実際の顔じゃないね、理想だよね」
「これ彫った人の気合のせいじゃない?」
畏れ多くも皇帝の彫刻を前に
われわれは好き勝手なことを言ったのだった。

たっぷりとまたゆっくりと見たというのに、
まだ午後の時間がまるまるあったから、
われわれは国際子ども図書館へ行った。
へぇ〜、こんなのがあるなんて、知らなかった〜
かつては子どもの本の情報に関してはお互いかなり詳しかったのに。
ここは国立国会図書館の分館らしいよ。
それにしても建物がすばらしい!

「明治39年に創建され、昭和4年に増築されたこの建物は、ルネサンス様式の代表的な明治期洋風建築として東京都選定歴史的建造物に指定されています。」
なるほどね
どおりでね
こんな贅沢な建物を今の政府が作ったら「贅沢!」と叩かれることだろう。
この圧倒的にゼイタクな建物が
子どものために解放されているというのがいい!

エリック・カールの絵本の展示会が開催中で
原画もあれば、イラスト入り、手書きの手紙もあった。
彼がコラージュの素材に使う
アクリルで染めた様々な色や模様のティッシュもあった。
思わぬ収穫だった。

エリック・カールにはわたしはとても世話になっている。
彼の絵本は何よりも良い子どもの英語の教材で、
月に1、2度は読み聞かせに使うほど。
短いフレーズの繰り返しのおもしろさ。
くっきりと力強い形と豊かな色。

メディアふれあいコーナーでは
パソコンで「コドモノクニ」に収められた詩や童謡を見たり聴いたりする。
なつかしいのは描かれている世界?
それともその時代の色使い?
味わいのある言葉と、ゆっくりとしたリズム。
あの当時の子ども達は漫画やアニメの代わりに
西条八十や野口雨情の詩や、竹久夢二の絵が身近にあったのか、
これってすごくない?


絵本は舞台ではイギリスの古い絵本作家たちの作品やマザーグース絵本を見る。
そうだ、今年の英語のクラスはもっとマザーグースを取り入れよう!
口でゆっくり唱える時、気持ちのいいリズムが生まれる言葉を
子どもたちといっしょにもっと楽しもう。
うん、うん、仕事に繋がるぞ…

という具合に
昨日はジムで汗を流す代わりにFと上野を歩いた。
たまには美術館もいいもんだ。
雨の中でも桜は美しかった。



たりたくみ |MAILHomePage

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