たりたの日記
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2003年10月03日(金) 月夜のうさぎ、ふたたび

今日は締め切りをすでに過ぎてしまった原稿を完成させるべく、午前中に家事や庭仕事の雑用を済ませると、テーブルにアールグレイがたっぷり入ったティーポットとマグカップを用意し、深く息を吸い込むとPCに向かった。

昨日ドトールで紙とペンとで書いたものは今日になってみると、それをそのまま打つ気分ではなく、もういっぺん、最初に戻って指が動くにまかせてみる。
ん、今度は行けそう、指の先に熱を感じる。

いったいどれくらい時間が経ったのだろう。なんとか最後のフレーズまで打ち終わった時にピンポーンとドアのチャイムが鳴る。

「ピンポーン」


郵便配達のおじさんだった。
無愛想なそのおじさんは、ほとんど物も言わずわたしに郵便物の束を手渡した。
郵便物の中には大きな封筒があって、それがポストに入らないからドアベルを鳴らしたのだ。
今日、原稿書きのために一日家に居てなんとラッキーだったことだろう。

差出人の名前を確認しないまでも、その封筒の形でそれが誰から送られてきたもので、何なのかはすでに察しがついた。
あさみ、いえ、夕雅先生からの色紙に違いない。

あせる心を落ち着かせ、決して、封筒をべりっと破ったりはしないで、丁寧に取り出す。
思った通り、出てきたのは美しい色紙。
歌が書かれたその色紙には、なんと水色とピンクの和紙のうさぎが二匹、仲良く耳を寄せてお月見をしている切り絵!

歌は

「月夜には 耳よせあってうさぎたち
   あなたに会えた よかったよかった」

と詠まれていて


「あなたに会えた」は薄青の文字でブルーのうさぎの頭のところに
「よかったとかった」はピンクのうさぎの頭のところに、寄り添うように書かれている。
その文字のまた優しげなこと。

思いがけない贈り物に、顔がほころぶ。胸が温かくなる。
一ヶ月前に会ったお下げ髪のあさみの顔が浮かぶ。

「あさみちゃん、ありがとう!!」


mGは夕雅先生の色紙を注文したいと言っていたから、プリプリの特選CDと共に小躍りしてうれしがることだろう。


  

   かの地より 届いた歌とCDに
        
         跳ねて踊るは 二色のうさぎ


たりたくみ |MAILHomePage

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