たりたの日記
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夕方、Sの通夜に行く
都内の斎場
棺の上には花で象った白い十字架
若く明るい声の牧師が中央に立って微笑んでいた
牧師はSのことは知らないといった
そしてSが天国へ移されたのだと
その言葉にあまりに曇りがないので
わたしはSの美しい笑顔の写真を見て微笑んだ
その時はいつかなんて
だれにもわかりゃあしない
あなたはいつも両腕いっぱいに夢をかかえて
歩くというよりは 走っているようだった
あなたの終わりがなぜ今なのか
まだ受け入れられはしないけれど
動かし難い「時」があることを
見つめるしかないね
せめてわたしは大きな声で讃美歌を歌った
オルガンの伴奏もないのだから
アルトのパートを歌った
あなたといつか歌うつもりでいたデユエットの代わりに
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