たりたの日記
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2003年09月04日(木) |
瞬く間の中の永遠、うさぎたちはそこにいる |
LOVE IS ART, STRUGGLE IS BEAUTY.
この言葉はわたしたちが、マキュキュ夫妻と別れた後に訪ねた、碌山美術館の入り口に書いてあった言葉だ。
愛は芸術なり、相克は美なり
荻原碌山が友人相馬愛蔵の妻、相馬黒光への報われることのない愛を作品として昇華させたといわれる「女」という彫刻がある。いつだったかテレビでその美しい彫刻を見て、安曇野を訪れる時があれば、その美術館に立ち寄りたいと思っていた。中村屋を創設した相馬黒光もまた芸術家で、相克を生きた女性だった。
今度の長野への 旅の最後に出会ったこの言葉が、不思議なように出会いの余韻と響きあうのを感じていた。
出会いはまさにファンタジーで、わたしたちはしばし日常から遊離して、うさぎとなり、その摩訶不思議な世界に酔っていたけれど、この世を旅するわたしたちは、また厳しい現実の生活へ戻っていかないわけにはいかない。
仕事、借金、病気、エトセトラ、それぞれに生きていく上でのストラグルを抱えている。一見平和に見えても、これほどあやうい命だもの、誰にとってみても日々は綱渡りのようなもの。
けれども、そこにある愛は、わたしたち惨めな人間の生を芸術にしてしまう。そしてわたしたちの生活や心の苦しみもまた美となり得る。 今、この出会いの余韻の中でなら、そのことが受け入れられるような気がする。
流れ流れてゆく人生のうちの僅かな時間をわたしたちは共有した。ほんとうに瞬く間のことだったが、そこには「永遠」が横たわっていた。その「永遠」は時の流れにも色褪せることなく、かえって時が経つほどに色鮮やかな印象となって繰り返し甦ってくるだろう。そして力が必要な時にはそれぞれを力づけることだろう。
これまでのひとつひとつの出会いがそうであったように。
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