たりたの日記
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2002年02月20日(水) |
深夜のBook Off |
昨日の日記に神田の古本屋街のことを書いたが、今日は夜11時頃にもなって車で近くの大型古本屋のBook Offへ行く。夫と次男がそれぞれ買いたい本があって出かけるというので私も便乗したのだ。 私は長男が旅に持参するのに良い文庫本を物色した。アルバイトでほとんど家にいない長男は24日からヤップ島を皮切りにアジアを一ヶ月かけて歩くという。いったい準備は済んでいるのか、さっぽり様子が分らない。何とか自分でやるのだろう。「本をたくさん持っていかなくちゃ。飛行機の中やヤップ島なんかはきっと退屈で、相当退屈な本だって読めるような気がするから、聖書も持っていくよ。」などと全くふとどきなことを言っていたからこの機会に読ませたい本を押し付けようという腹だ。
100円の文庫本に目を泳がせていると、なつかしいタイトルの本が目に止まった。福永武彦の「愛の試み」。二十歳かそこらのころ愛読した作家だった。 この作家の作品は手に入るものはみんな読んだと記憶している。そしてこの「愛の試み」と題されたエッセイは何度も繰り返し読んだ。あちこちに線が引かれてぼろぼろになった本はもうとっくに手元からなくなっていたし、その後彼の物を読むこともなくなっていた。私はこみあげてくるなつかしさからその本を手にした。もう少し前なら決して手に取ることはなかっただろう。その本を開くことで思い出したくない昔の痛みをひきずりだしたくはなかったから。 今、この本を開こうとするのは通り過ぎてきたものを別の眼差しで見ることができるようになってきたということなのだろうか。それともあの頃の自分と向かい会ってみたいと思っているからなのだろうか。
夫と次男はお目当ての本が安く買え、私は思いがけない本も手に入れ、長男に持たせる本も確保できた。本屋の帰りミニストップに立ち寄り、夫はビールを、次男と私はソフトクリームを買って家に帰る。 深夜のBook Offもいいもんだ。
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