たりたの日記
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今日は次男の高校の父兄懇談会だった。新学期の時の懇談会に行けなかったので今度初めてクラスメートのお母さん方と顔を合わすことになった。あまり学校のことを話さない次男だから数名の男子生徒の名前の他は聞いたこともない。せっかく男女共学だというのに、女の子とはほとんど口を利かないというのだからあきれてしまう。この時期、ガールフレンドの一人もいないというのは何だか淋しい。
懇談会が終わって外に出たところで呼び止められて振り向くと懐かしい顔がそこにあった。咄嗟のことだったが思わず手を取り合ってはしゃいでしまった。彼女は何も古くからの友達というわけではない。次男の入学式の日に初めてお会いし、その後も2、3度しか会っていない。そしてもうお会いすることもないだろうと思っていた人だった。その人は長男の高校時代のガールフレンドのお母さん。娘のMちゃんは息子が家に連れてきた初めての女の子だった。
ある日、仕事から帰ると玄関に女の子の靴とピンクの傘がある。どぎまぎしながら「ただいま」と言うと「Mちゃんが来てるよ。」と2階から長男の声。Mちゃんのことは話には聞いていたし、今度連れてくるとも言われていたもののあまりに突然のことに心の準備ができていない。ともかく部屋に行くとかわいい女の子が「こんにちわあ」となんとも屈託の無い笑顔で笑いかけた。私はその笑顔がすっかり気に入ってしまったらしい。それからというもの彼女が学校帰りに我が家に立ち寄るのを楽しみにした。時には夕食食べていかないとさそったり、夫と次男も交えて5人でファミレスに行ったこともあった。後部座席に子どもたちが3人仲良くくっついて話していると、3人子どもがいて、そのうち一人は女の子というかつての夢が現実のものになったように錯覚した。なんだが夢のような気がしたものだった。その年のバレンタインデーにはMちゃんが焼いて来てくれたブラウニーズをみんなで食べて、翌月のホワイトデーには彼女が息子にハート型のクッキーを作って欲しいとリクエストした。息子がクッキーの材料を買ってきたので彼に手ほどきをしながら、テーブルにクッキーの生地を伸ばし、様々な大きさのハートの型でくりぬき、上に飾りをつけ、夜中までハート型のクッキーをいくつも作った。ついおとといのバレンタインデーもブラウニーズを焼きながらMちゃんのことを考えていたのだった。
長男とMちゃんは高校が違っていたが次男とMちゃんの妹が同じ高校に決まり、しかも同じクラスになってびっくりした。同じクラスにならなければMちゃんのお母さんや妹に会うこともなかっただろうに入学式の日、私たちは昔からの親しい友人かあるいは親戚のような親近感を感じていて、2人してPTAの役員に立候補したりまでしたのだ。デザイナーの彼女は文化部の行事の度になかなかすてきなポスターを作った。お陰で私も苦手だと思っていたPTA活動に楽しく参加することができたのだった。母親たちはまだ高校生だというのに2人がいずれ結婚するといいとか、ついでに下の子同士も、なんて勝手なことを言っていたが当の2人は大学受験を前に別れてしまった。お互いにブロークンハートを抱えていたのだろうし、私自身、何だか泣きたいくらいだったが(実際泣いたような気がする)、目の前には乗り越えなければならない受験のハードルがありなんだかそんな悲しみも次々にやってくる波に呑まれてしまったような感じだった。
久し振りにMちゃんのお母さんに会ってやっぱりあの親近感は変わっていなかった。今度ゆっくりお会いしましょうと言って別れたが、口先だけではなく私はほんとに彼女と会ってゆっくり話したいと思っている。できればMちゃんにも会いたい。息子の別れた彼女とそのお母さんを今だに親しく感じるというのは何とも妙な話だが。
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