たりたの日記
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2002年02月12日(火) 詩のモード


今日はひさしぶりに、ほんとにひさしぶりに詩を書いた。
詩は果たして書くというのだろうか。
わたしの場合、言葉は降りてくるという感じがする。
あるいは枯れた井戸水の底に水がたまってくるようなそんなイメージがある。
しばらく投稿詩のサイト「詩モードZamboa」に毎月投稿していたのに、この2ヶ月間は締め切りの15日になっても詩が生まれてはこなかった。今月などはバレンタインのチョコレートの買い物は覚えていても投稿の締め切りのことはすっかり忘れていた。そんな時にどうして詩のモードになったかといえば、朝、目にしたメールのせいだった。Zamboaのスタッフの方からのメールだった。私が11月に投稿した詩「クリスマスツリー」の感想が書かれてあり、そのメールは励ましにも詩作への促しにも感じられ、うれしかった。その拍子にふっとチャンネルが切り替わったらしい。何かパイプの詰まりがとれた感じもした。
駅までの道を歩きながらしきりと言葉が我先にとうごめいているのがおもしろかった。電車の座席に座ると言葉たちは行儀良く整列をはじめ、私はその順番を覚えておこうとしたけれど、最近は記憶に自信もないので手帳を取り出して書き付けた。春の詩だった。

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春のはじまり


春の風がひとすじ吹いてきたので
うすみどり色のコートを着て
外へ出た
田んぼのそばの川べりを
歩くのだ
土の中から生まれ出たばかりの命たちに
あいさつする時をのがさぬように

風は運ぶ
この地上の
どんなにちいさな命たちの息をも
匂いだったり
湿り気だったり
聞こえない歌だったりもするそれは
わたしが生まれる前から知っている
なつかしいしるし

命たち、わたしのところへおいで
深く、さらに深くわたしは息を吸おう
命たち、わたしの命をお受け
遠く、さらに遠くへわたしは息を吐こう

ほおら、今
わたしは命のひとつになる
わたしは風のひとすじになる
そうして風は
まっすぐに天を突きぬけ
命のみなもとへと
届くのだ





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