たりたの日記
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彼らはほんとうに神の子だった。
フィリピンのパヤタスごみ捨て場 12歳のニーニャは 左右の違う長靴をはき、ゴミの山の上を歩く 今日一日生きるための糧をゴミの山から見つけるためだ こちらに向けた目の奥に静かな喜びを見つける その眼差しだけで私は遥かとおく彼女の気高さに及ばないことを知る 「私は盗むくらいだったら飢え死にした方がいいわ」とニーニャ 町で仕事をさがすため家族を残してごみ捨て場の家を離れる朝 ニーニャの父は家族を集めて祈りを奉げひとりひとりを祝福した このように美しい家族の絵を 私は見たことはない
バヤタスごみ捨て場が崩れた 生き埋めになった子どもや大人は千人にもなるという ゴミ捨て場が自然発火し、辺りは死体の焼ける匂いに包まれる 政府はゴミ捨て場を閉鎖したが そこで暮す3500世帯の人は生きるすべを失う ノーラは身重の体でデモに参加する ゴミがこなければその日の食物が得られないのだ
ノーラに赤ちゃんが生まれようとしている 産婆さんがノーラのお腹をさする 夫フォーシンはノーラの頭に手を置く ノーラの手をしっかりと握る 苦しむノーラ 握るフォーシンの手から汗が噴き出だす このように美しいお産の写真を 私は見たことがない
5歳のアレックスは水頭症 もう起き上がることも歩くこともできない いよいよ食べるものがなくなったアレックスの父親は 隣人に米を借りに行く そこの家とて苦しい生活だろうが米を分けてくれる 持ち帰った米を炊き、まずアレックスに食べさせる 次に2人の妹たち、父は「おまえも食べろ」といい 母は「あなたも食べて」という
画面に大写しになったアレックスの瞳が まっすぐにこちらを見ている クリスマスに教会に行ったことが楽しかったと 歌うような声で語る 「ぼくの足が治るように神様にお祈りしたんだ」 このように美しい眼差しを 私は見たことがない
さまざまな廃棄物の山に埋もれて 悪臭と毒素にまみれて あなたがたがを美しいのはどうしてですか 豊かなわたしたちよりも愛に溢れているのはどうしてですか あなたがたが命の源へしっかりと繋がっているからなのですか
彼らは訴えたり責めたりはしない けれども神は私たちに問いかける
あなたはどのように生きますか 同じ被造物として
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