たりたの日記
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2001年11月05日(月) 旅日記/温泉と富士山

11月4日朝
ドアを誰かがノックしたような気がして反射的に時計を見る。
目覚まし時計を見るなり"We slept in!" と叫んだのは映画ホームアローンのお母さんだったが、まさにあのシーン、私は「大変、寝過ごした」と叫んでいた。時計の針は8時50分を指していた。
夕べ、食事の時、オーナーの奥様に、朝食は8時ですと言われていたのだ。いつも6時頃に起きているので、寝過ごすなど考えてもいなかった。友人たちもそうだったにちがいない。ところが揃いも揃って、我々は1時間以上も寝過ごしたのである。

前の夜は食事の前、すぐ近くの「ゆらり」という富士眺望の温泉へ行き、2時間近くをそこで過ごしたのだった。雨が降っておりもう暗くもあったので、富士眺望とはいかなかったが、気持ちの良い露天風呂、備長炭、竹、塩、砂で構成された塩釜蒸し風呂、低温バブル風呂になっているドーム型の洞窟風呂、ユーカリの香りが心地よい香り風呂とひとつひとつに工夫を凝らした風呂を楽しんだ。こういう温泉は他にも無いわけではないが、これほどひとつのポリシーで作られている温泉というのは今まで出会ったことがないと思った。カラオケやゲームなどはなく全体にしっとりした空気があった。気や風水など、エネルギーの流れを意識した作りをしていると思った。

温泉と食事の時のワインで、私たちの体内時計は同時に狂ったに違いない。すでに、他の泊まり客が出払ったダイニングルームで私たち3人だけで遅い朝食をいただく。お料理は夕食も朝食もおいしく、ボリュームのあるものだった。
ダイニングルームは夜とはまた違った表情をしている。窓の外は昨日と打って変わっての大快晴。ペンションを出る時、見送って下さったオーナーが右手の丘の上にある白い見晴らし台を指差して、紅葉台からの眺めがすばらしいので行ってみるといいと教えてくれた。何しろばたばたしていたもので、化粧もしていなければ、髪もはねている。見晴らし台に行く前に昨夜の温泉に入って身綺麗にしようということになった。

日帰り温泉「ゆらり」はペンションから車で5分足らずの所にある。温泉へ行くべく、右折したとたん、目の前にドーンとどでかい富士山が現れた。私たちは思わず歓声を上げる。実は昨夜のこと、温泉のパンフレットの写真を見て、いくらなんでも、こんなに大きく富士山が見えるなんていうことはないよね、きっと合成だわねと私たちは頭から疑っていたのだ。どうやら間違いなく富士眺望の温泉だったのだ。内湯の窓いっぱいに富士山は広がっていた。富士山は実際スピリチャルな山だった。お湯の中に山の霊気が溶け込んでいるような気がした。なんと贅沢な朝だったことだろう。


たりたくみ |MAILHomePage

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