たりたの日記
DiaryINDEXpastwill


2001年11月04日(日) 旅日記/ワインとほうとう

11月3日、午後。
ぶどうでお腹をいっぱいにした私たちはこの町の観光の中心である勝沼町営ぶどうの丘へ行く。ほんとに小高い丘に白っぽい円形の建物が見えている。駐車場はいっぱい、ワイングラスを手にした人がたくさん通っていく。お祭り気分が漂っている。

丘を登っていくと、今日は新酒祭りの日であるらしく、外といわず、中のホールといわず、通路にまで、ほろ酔い加減の人達がくつろいでいる。チーズ、パン、ソーセージなどがセットになってパックしてあるおつまみセットとワインで1000円だった。ちょうど昼どきだが、我々のお腹はぶどうでいっぱいだし、この後はここの名物だという「ほうとう」を食べる予定なので、このワインセットには手を出さなかった。

ここで我々は家族や職場のお土産を買ったのだが、まあおびただしい種類の勝沼ワイン、いったいどれを買ってよいのやらさっぱり分らない。味が分らない以上、ラベルとかびんで、中味を推測するしかない。「無添加赤わいん」というラベルのデザインが気に入ったので夫の土産はこれに決める。
土産売り場の地下はワインの貯蔵庫になっていて、聞き酒ができる。なんとかという名前の聞き酒用の銀色の皿にブルーのリボンがついているものを買うとそれでワインの味見ができるしくみになっている。私は小さなワイングラス一杯で赤くなってしまう質だし、YMさんは運転がある。YOさんがそのお皿を買って地下へ降りていった。

下には上の売店で売られているたくさんの種類のワインがどれも試飲できるようになっていた。勝沼ワインといっても様々なラベルのワインがあって、どれもほんとに味が違うようだ。「なにこれ、まずい。飲んでみる」とYOさんが注いだ白ワインを飲んでみると。うーん、ほんとにまずい。でもなんだか良い性質のワインという気がしないでもない。ワインの味を調べることができる人はひとつひとつのワインにどんなコメントを持つのかしらと思った。YOさんが私の買った赤ワインを見つけてくれる。恐る恐る飲んでみると、フルーティーでおいしい、ぶどうそのままの香りがする甘味のあるワインだった。夫はどうだか分らないけれど、私は好きな味だ。これにして良かった。

ほとんどなめるくらいなのに、私は赤くなったようだ。このワインの試飲、酒好きな夫はうれしいだろうなあと思う。そういえば、このワインの丘への送迎バスを見かけた。今度来ることがあったら、送迎バスを利用すると良いだろう。このバス、上部がでこぼこと、紫、あるいは緑色の半球で覆われている。どうやらぶどうをデザインしたもののようだ。窓はワイングラスになっていて、窓ガラスの下の部分は紫色の液体が入っていて、バスが動くたびにぷるんぷるんと表面が動のがおもしろい。ほんとのワインを入れているかどうかは分らないがずいぶん楽しいデザインの乗り物だ。

さて、ぶどう腹もいいころ合いに空いてきた。売店の人が「ほうとう」を食べるのなら塩原が良いと教えてくれたので、地図で道を探し、探し、おいしい「ほうとう」を求めて雨の中車を走らせる。といっても、地図を見るのも、道を探すのも、運転をするのも、私とYOさんはまったく手が出ない。YMさんってほんとにえらい、女の鏡だと私たち2人は尊敬の眼差しを送るだけであった。
人に聞いて、それらしい通りに入ると店構えからしていかにも由緒正しいほうとうを食べさせてくれそうな店が見つかった。もう2時過ぎだというのに、入り口で人が待っているほどだった。おばあちゃんの家を思い起こさせるような高い天井と太い柱と梁の店の中はいっぱいのお客で賑わっていた。いろりをテーブルにしつらえたような席に他の2組の客と相席をする。ほうとうを注文すると当たり前の顔で、「40分かかります。待つ甲斐ありますよ。」と注文聞きのおばさんは自身満々だ。ここまで苦労してほうとうを求めてきたのだから待つでしょう。40分でも。幸い私たちは話すことには事欠かない。ここではおもに、映画に詳しいYOさんが味わい深い中国映画やスペイン映画の話しを、まるで見えるように話してくれ、YMさんと私は手帳を出してメモをとったりと熱心であった。

さてさて、私たちの向かいに座っているカップルと、我々3人が「ほうとう」にあずかる番となった。いろりにかけるあの黒い鉄の鍋のミニチュアにたっぷりのほうとうが出てくる。どう見ても2人分はある量だが、どうやらこれを一人で食べるということらしい。平たく太い麺がいろんな野菜やきのこといっしょに煮込んである。味噌仕立てのその味は驚くほど、大分の名物のだんご汁に似ていた。大分のだんご汁の場合、だんごはめん棒を使わずに手で伸ばし、伸ばした太い面を真ん中から裂いて、野菜や肉を煮込んだ味噌汁の中に投げ入れる。中学校の家庭科で習ったこの作り方で、冬の寒い日はこのだんご汁を今でも作る。ほうとうにはかぼちゃが入っていると聞いて、それを楽しみにしていたが、私のお鍋の中に限って、かぼちゃは入っておらず、残念だった。この冬はかぼちゃ入りのだんご汁を作ろうと思った。

ところで、このほうとう、おいしいおいしいと食べるのだが、食べても食べてもなくならない。だいたいが大食いの私だが最後まで食べきれなかった。
もう夕方だ。ペンションの夕食が食べられるかしらと心配しつつ、我々はシルバーレイクロッジへと向かった。雨はまだ降り止まない。


たりたくみ |MAILHomePage

My追加