たりたの日記
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2001年10月03日(水) |
フォスターチャイルドのクレメンス |
フォスタープランからの手紙が届いた。フォスターチャイルドのクレメンスが援助を卒業したという知らせだった。 クレメンスはケニアのKighomboというコミュニティーに住む女の子だ。4年半前に彼女や、その子の住む地域をサポートするようになった時、クレメンスは14歳だった。 Taita Tavetaという フォスタープランの事務所から、彼女の生活の様子を詳しく書いたレポートと、写真とが送られてきた。生活するための水を1キロ先の水道まで汲みにいくのは彼女の仕事だった。煮炊きするための薪を採取するのには2キロ歩かなければならないという。セメントの壁、トタンの屋根、床に板はなく、土のままという住まいは、しかし平均的な暮らしだということだった。
このプログラムはフォスターチャイルドが18才になるまで、毎月、五千円のサポートをするというもので、そのお金は フォスターチャイルドが学校へ通う費用の他、その地域の生活環境を整えるために用いられる。フォスターチャイルドの生活や学業、また地域でどのようなプロジェクトがなされているかといった報告が、チャイルドの写真とともに、毎年フォスタープランの事務所から届く。
学校に通い始めた クレメンスは絵だけだった手紙に短い英文が添えられるようになり、最近来た手紙には将来は教師になりたいとしっかりした文で書かれていた。また、報告書によると、それまで、飲み水が確保できずに、不衛生な状況だった学校の給水システムが改良され、雨水を溜る大きなタンクが設置され、さらに、マラリアやエイズから身を守るための医療設備が整えられたということだった。
月に五千円というのはは、クレメンスと同じ歳の高校生の息子の小遣いと同額だ。次男の同級生の中には、もっと多く小遣いをもらっている友達も多いらしい。身も知らぬアフリカの女の子をサポートするより次男の小遣いを増やしてやるのが親心だろうかとふと心が揺らぐこともある。けれど、やりくりに苦労している息子達に、ちょっとかわいそうかなと思いながらも、あまりお金はあげない。それでなくても、世界中の子どもたちの中で、彼らはずいぶん豊かだ。少しくらい苦労するくらいでなくてはと思ってしまう。
クレメンスをサポートするようになってから時々家でやっている英語教室の子ども達にクレメンスにあてて、英文で手紙を書かせたのだが、子どもたちが、部活動や、映画や音楽のことを話題にして手紙を書くのを見て、この子たちと全く生活環境の違う クレメンスは、この経済的な豊かさがにじみ出ているような子供達の手紙をどんな気持ちで読むのだろうと、何か心が重くなることがあった。
フォスタープランを始める時は、サポートすることの充実感のことしか頭になかったが、実際に始めてみると、生活や経済の格差の隔たりに愕然とする。それが知らない子どもであればそんなこともないのだろうが、手紙のやり取りなどをするようになると、いくらサポートをありがとうと感謝されても、彼女達よりずっと豊かに暮らしている自分達に後ろめたさのようなものを感じてしまう。良いことをしているという晴々とした気持ちになどなれはしない。支援したり、経済的にサポートすることは、この後ろめたさを引き受けるということなのかもしれない。
昨日、郵便局へ行き、ペシャワール会の会員になるべく、会費を納めてきた。 年に数回、中村医師からの現地からの報告文が届くということである。その報告文を読みながら、自分たちの生活を貧しく傷ついた人々のためにささげているワーカーを目の当たりにして、励まされることだろうが、きっと後ろめたさも感じることになるのだろう。
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