たりたの日記
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どの月だって一番最後の日があるわけで、いちいち感慨に耽っている訳にもいかないが、8月31日というのは何か心に残ることをして、夏の最後の日をしめくくりたいと思う。それで、生協の注文も出さずに、丸一日開けておいた。 うまく都合がつけば, OさんとFさんをさそって、温泉とプールとアスレチックの設備がある、健康増進施設にでも行けるかもしれないと思っていた。Oさんは仕事が入っているらしいが、Fさんは幸いオフだという。そこでOさんお勧めの『蝶の舌』を銀座のCINE SWITCHに見に行くことになった。 近所の映画館ではこの手の映画は見られない。しかし新宿や渋谷の映画館に出かける気力はここのところなく、いつも良い映画を逃さずに見て、情報に疎い私に知らせてくれる友人達に感謝している。Oさんが良かったといい、Fさんが見たいという映画であれば、良いに決まっている。私は「じゃあ、それにしようよ。」とその映画のことは知りもしないのに全く調子がいい。 果たしてそれはすばらしい映画だった。そのスペイン映画からはハリウッド映画では味わうことのできない細やかなその土地の空気が伝わってきた。こういう場面はいつまでも記憶に残る。記憶に残るだけではなく、まるで自分がそこにいて体験したかのように自分のその時と分かち難く結びつく。深いところで、何か化学変化のようなものが起こり、私の体験の中に組み込まれてしまうかのようである。心に残ったものが深く、まだ私の中で形にならずうごめいているので、この映画については日を置いて書くことになるだろう。
南欧風のレストランで遅い昼食をし、帰りはデパートに立ち寄り夏物の最終バーゲンの恩恵に浴した。バーゲンの服を物色するにあたっては映画の余韻も何もなかったが、戻ってくるとまだあの映画の映像が心を占領している。スペインという国の内側に入ってみたいものだと思った。旅行ではなく、しばらく滞在したい。そういえば、夫がまず行きたい国がスペインだと言っていた。長男はスペインの大学に一年間留学したいなどと言っている。さて、私たちはスペインという国に縁があるものかどうか。ともかく印象に残る夏の最終日であった。
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