たりたの日記
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2001年07月21日(土) |
佐藤初女さんの「おむすびの祈り」 |
佐藤初女さんの「おむすびの祈り」を読んだ。 先週の日曜日、ふらりと図書館へ行き、特に当ても無いまま本の背表紙を目で追っている時、この本のタイトルが目に止まった。
著者は佐藤初女さん。見覚えがある。確か染色家。映画「地球交響曲 第2番」の中で、ダライ ラマなどいった人と共に、取り上げられている人だ。知り合いの家で聞いたこの映画のサントラ版のCDがとてもよかったのでCDは求めたが映画は見る機会のないまま今に至っている。
ある時から、音楽にしろ、本にしろ、また人にしろ、ひとつの傾向のあるものが次々と私の目の前に現れるようになった。自分から探し出したわけではない。向うからやってくる。ところがやってきたものはどれも、不思議なように繋がり合っているのである。
図書館の書架からこの本を取り出した時、その繋がりの中にある本だと直感した。用意されていた出会いと思う。今わたしにとって必要なことがきっとこの本の中にあるのだ。
こうして出会った本(人)というのは、等しく、もうずっと以前から知っている人という気がしてくる。捲るページごとに、わたしとしては全く新しくその人の生い立ちや、日々の暮らしを知るのに、それらともうすでに出会っていた、もう私は見てきていたという気持ちになるのはどういうことだろうか。
初女さんは心を病んだり、心に重いものを抱えて、癒しを求めて来る人に、食事を作る。その季節に土地で採れた新鮮な材料を使って、おいしいものを作り食べさせてあげるのである。そして黙ってその人の傍らに座っているというのである。たくさん人がやってくるようになり、初女さんの家では間に合わなくなり、初女さんの活動を支援する人達によって「森のイスキヤ」ができた。癒しの家である。
初女さんがカトリックの信者だということも、この本で初めて知った。5歳の頃、近くの教会から聞こえてくる鐘の音に惹かれて、教会へ行くようになったという。若いころ、カルメル修道会の聖女テレジアの本に出会い大きな影響を受けたということだった。私自身、聖女テレジアのことを知りたいと、先日もテレジアに関する本を聖三木文庫から借りてきたところだった。ああ、ここでまたつながったと思う。
おむすびを握って、心に飢え渇きを覚えている人に食べさせる初女さん。おむすびは彼女の祈りなのだ。彼女に出会う必要のある人がどこからか、送られてくるのだ。そして彼女は誠実に彼女のできることがらの中でそれに答えていく。誉められるためでも、有名になるためでもなく、いわば彼女が生まれた時から神様に与えられた彼女の「仕事」を続けているのである。彼女の日々の暮らしがそのまま祈りであることが伝わってきた。私もこのように生きたい。 読みながらふつふつと込み上げてくるものがあった。
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