たりたの日記
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飛び込み 青い空を背景に 少女は飛び込み台の先端に立っている まっすぐな体 まっすぐな視線 まっすぐな思い その思いはどこへと向かっているのだろう 我々が行くこともできないほど 遠い 晴れやかな空間に 彼女はひとり いるように見える
体がしなやかに動きはじめた 少女は呼吸を合せているかのようだ 頭上に広がる大空の呼吸と 今を生きているすべてのものたちの 呼吸と
ぴたっと何かがひとつになった瞬間 彼女の爪先は飛び板を離れ 力強く飛翔し 宙に舞った くるくると美しい回旋は 再び、まっすぐな線になり 水へと向かう
水は彼女を受け止めようとするかのように 道を開けた すぽっという音とともに まっすぐな体は 水の穴に吸い込まれた
この一瞬の時のなかに 少女の凝縮された命の輝きを見た 彼女を生かしている 大いなる御腕を見た
Mちゃんの飛び込みを、Mちゃんのお母さんと見た。 Mちゃんのお母さんと私はともにアメリカで子育てをした間柄だ。 Mちゃんは会わずにいた3年ほどの間に、すっかり逞しく、美しく成長していた。幸いなことに、今日は彼女の飛び込みを初めて見ることができた。すばらしい成績をおさめて、彼女は来月、全国大会に出場する。
いっしょに出かけたり、お泊まりに来たりしていた頃の小さな女の子のなかに 今日のようなMちゃんを思い描いたことがあっただろうか。 プラスチックの四角いランチボックスの中に、ピーナッツバターとジェリーのサンドイッチを入れてナーサリーに通っていたあの頃、Mちゃんにも、我が家の次男にも、親を凌ぐ逞しさと力を持つ若者の姿を想像してみたことなどなかったような気がする。
この、夏から、次男もいよいよバスケットボールの試合に出るようになる。 見に行こう、初めてのようにそう思った。
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