たりたの日記
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2001年07月19日(木) |
命をめぐってのとりとめのない感慨 |
義父の手術は6時間の予定だったが、実際は一時間もかからなかった。
様々なシチュエーションを考えて心の準備をしていたはずだったが こういう状況は考えていなかった。 考えてもみなかったことはしかし起こるのだ。
そうしてこうして元気に見えるこの体もその内部でどんなことが 起こっているのか、またこれから起こるのか こんなに医学が発達した今でも予測はできないのである。 そういう予測不可能な命を私たちは抱えている この命が、この不確かな滅ぶべき肉体の中にしかないと そう考えるのだとしたら、そこにはなんと大きな虚無が口を開けていることだろう。 かつては覗き込んでいた、その底なしの深い火口のような穴が いつのまにかすっかり私の内から消えていることに気づく。 今見えるのはただひとすじ続いている道。 私が生まれる前から続いていて、私が死んだ後にも続いている1本の道。 そんな道のイメージである。
息子が電話で話している声は今までにない響きがあって、何か新しいことが 起こっているようだ。青春などという気恥ずかしいような言葉のまっただ中に彼はいる。 収束していこうとしている私たちの向こう側では今花が開こうとしているし、もう一人の蕾みなどはまだ色づいてさえいない。
命をめぐってのとりとめのない感慨。
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