サーモンピンク・フラミンゴ
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長らく「いつか書きますねー」と言ったまま書いていなかった、親へのカムアウト話だったんですが。 なぜ今まで書かなかったのかというと、いつもにも増して長くなりそうだったからです。 今月、仕事が忙しくないということと、先日この件について「そろそろ書いてもいいのかなー」と思う親とのやりとりがあったので、 この機会にまただらだらと恥ずかしげもなく(ホントは恥ずかしいんですよ!)(なら書くな!)自分語りをさせていただこうと思います。
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先日、用事があって実家に行ったときのことであります。 父が町内会かなにかの忘年会へ出かけまして。 母とふたりで夕飯をもぐもぐと食べながら、あれこれと雑談しておりました。 その中で「うちのお父さんて、ホントに『良い人』だよねー」なんて話になりまして。 まあ、ワタシの日記ではキチ●イのような様しか書かれていない気の毒な親父様でありますが、もうホントに善意と無邪気のカタマリのような人であります。 その善意と無邪気がキ●ガイのようなけったいな事態をよく作り上げるわけですが。
で、母がその話の流れで言いましたですよ。
「お父さんはホントいい人だなーって思うんだけど、そしていい人ゆえのことなのかもしれないけど、 障害者を見て『かわいそうになぁ』ってたまに言うんだけどさ」 とな。 「ふーん」 もぐもぐと相づちを打つじょりぃ。 「お母さん、それがイヤでさー」 「へえ。どんな風に?」 「だって、特に先天的な人の場合なんかはさ、 健常者中心に作られている社会では確かに不便だったり生活しづらかったりするかもだけどさ、 その人にとってはそれしか知らないわけだし、それが標準仕様なわけじゃない?」 「うん」 「だから『大変そうだな』って思ったり、手を貸してやりたくなったりっていうのはわかるんだけど、 『かわいそう』って思うのは、それは傲慢だし差別だと思うんだよね」 「なるほどね。それはワタシも思うわ」
ちょっと、映画「X-men 3(ファイナルディシジョン)」の中でミュータントが人間に言ったセリフ
「オレ達はみじめか?」
を思い出したりして。(見てないかた、わかりづらい例えでスミマセン)
もぐもぐもぐもぐ。
少し間をおいて母が言いました。
「じょりぃさんさー、NHKの『ハートをつなごう』って番組、知ってる?」
フラグ、キタ━━━(゚∀゚≡(゚∀゚≡゚∀゚)≡゚∀゚)━━━━!!
ハートをつなごう ってなんじゃらほい? というかたはこちらをどうぞ。(そのうちリンク切れや変更があるかもですが) ワタシから簡単に説明させていただきますと、最近LGBTに関する内容を、何週間か放送していたみたいですね。(説明簡単すぎ)
さて、ここでいったんこの話は置いておいて。 上記フラグが立つ前に、ワタシは既に親にカムアウト済みです。 まずはそのときのお話からさせていただくために、一気に数年前にさかのぼらせていただきます。
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きっかけはワタシが家を買うことになったことでした。 仕事をフリーで行うにあたって、マンションに今までどおり住んで事務所用にまたどこか借りて・・・ってやるよりは、一軒家買って事務所も兼ねちゃったほうが経済的だし効率が良かったということと、関東の片田舎で女一人で商売するにあたって、お客相手にしても銀行相手にしても、不動産を持っていたほうが何かと信用が良いだろうと判断したからであります。 で、親に借金(とはまたちょっと違うんですが、これは本題から逸れるので省略)を頼むために、経緯と計画を話しまして。 銀行に融資を頼むときのような勢いで、経営計画書を作って親に説明したものでした。懐かしい。 親はまあ、厄介な話だというのに、大喜びで全面的にバックアップするよ!てな話になったというシアワセ者じょりぃだったんですが。 で、家も見つかってあとはハンコ押しに行くだけー、みたいになった頃。
やっぱ、きょんとまた暮らすってこと、しらばっくれて・・・ってわけにはいかないよなー(借金するし)と思ったじょりぃは、母に言いました。
「今度の家、きょんにまた一緒に住んでもらおうかなと思ってるんだよね。 ひとりで一軒家は怖いし、それに家賃収入も入るし」 と。無理に理由をつけて。
ここで母の表情が曇ったわけですよ。
「それは・・・よくないんじゃない?」と母。 「どうして?」
平静を装っていますが、この時点で 「ガーンΣ (゚Д゚;)」 「どうしよう・・・(´;ω;)」 「((((;゚Д゚)))ガクガクブルブル」 のトリプルショックなじょりぃであります。
「家賃なんてもらっちゃって、後になって『自分もローンを支払った。家の権利がある』とか主張されたら困るでしょ」と母。 「あははははは。きょんはそんなことしないから大丈夫だよー」 なんだそんなことか。 「それは言い切れないでしょ? お金に困れば、人って豹変するものだし」 「とにかくそれはないですから」
そこでいったん、その話は終わったんですが。
数日経ってまたその話が出ましてね。 母としては「きょん同居反対」のスタンス。 「友だちとの遊び感覚みたいな気持ちなら、賛成はできない」と。
カチン。
「ワタシが遊び感覚で独立やら家を買うやらの決断をすると思うの?」 穏やかにケンカ腰じょりぃ。 「そうは思わないけど。 きょんさんとこのままずっと一緒にいるつもり?」と母。 「さあ。 先のことはわからないもの」
もうこの時点で、怒りで心臓がバクバクし始めるじょりぃ。 母はワタシのセクもきょんとの関係も知らないわけなので、こんなにワタシに怒りを感じられる筋合いはないのですが。
それでも、なんでこんなに怒ったのかというと、ワタシは心のどこかで「母はワタシのセクに気付いているはず」という思いがあったからです。 知っていて、でも認めたくなくて、あるいは確信が持てなくて、知らんぷりをしているんじゃないか、と思っていたのです。 なので
カマかけてるわけ? <被害妄想 わかっているからこそ引き裂こうとするわけ? <被害妄想
てな具合。
さらに、ワタシはあまり余裕のない精神状況でございました。 実はこのころ、きょんとちょっとうまくいっていなくてですね。 ここで「じゃあいったん別々に暮らしましょう」ということになったら、おそらくふたりの関係は終わってしまうだろう、と感じておりました。 それはイヤだったのです。 さらに、1年後の独立に向けて、不安でいっぱいの頃でしたし。 おまけに大きな買い物に取り組んでいる最中でしたし。
そしてもうひとつ。 この時点で・・・というか、ワタシはずーーーっと「自分のセクのことは親に話さず、墓場まで持っていこう」と思っておりました。 とにかく、両親をガッカリさせるのが恐ろしくてならなかったのです。 いつでも日の当たるところを歩いてきた両親が、世間に対して「隠さねばならない」部分を作ってしまうことになるのが申し訳なかったのです。 ワタシは両親にとっては自慢の娘です。(なんの取り柄もありませんが・・・) ずっとそのまま、ワタシに関してはしあわせな気持ちでいてほしかったのです。 今でこそ「セクなんてバレたらバレたでまあいいか」と思えるようになりましたが(それでも怖いけどー)、当時はまだ世間の目をすごく気にしていたんですね。(その割には好き放題していましたが) ワタシ個人のことはさておき、実家や妹の家庭を巻き込んで世間体に傷がつくのは、これは申し訳ない、と頑なに思っていたのです。
ということに加え、「親に拒絶されたらもうだめぽ(つд-。)」というワタシの弱さもありました。 まだネット上でセクマイ仲間もたくさんできて・・・となる前でしたし。 いくら自分では「ワタシはワタシ。もうしょーがない」と割り切って胸張ってるつもりでも、世間に対して抱えている劣等感はそれを上回っていたので、これで親にも拒絶されてしまったら・・・と考えると、それはもう、恐ろしくて恐ろしくて。 今まで親が何度も言ってくれた 「何があっても、じょりぃが何をしても、世界中が敵になってもじょりぃの味方だよ(´∀`)」 という言葉が、セクバレと共に一瞬で無効になってしまうかもしれないのです。 怖かった。
そんなワタシに、母が言った次の言葉がこれ。
「そのへんちゃんとできないなら、家のことはもう一度考え直さないとね」
かっちーーーーーーん。
「あ、そう。 ならもういいです」とワタシ。 「もういいってことないでしょ? 家はあったほうがいいんだから」 「反対してるのはお母さんじゃない(笑)」 「おまえがどういうつもりできょんさんといるのかがよくわからないんだもの」
この一言で、ああやっぱり探ってるんだな、と判断したじょりぃ。
「それ、関係なくない?」とワタシ。 「ないことないでしょ? だってふたりともこのまま結婚しないつもり?」
ここで、ワタシの中の何かが ぶつ と切れました。 精神的に余裕がなかった ということもあったかもしれませんが。 とにかく、判断力なくした。 もういいやと思ってしまった結果。
「もう結婚してるようなもんだから」
言ってしまった。
「どういうこと?」 と母。 「そういうこと」 「結婚してるようなもんて、誰と?」 「きょんと」
話、全然わからん みたいな顔をしている母。 ふん。 まだすっとぼけますか。 ならハッキリ言ってやろうじゃないか。
「お母さん、ワタシは男の人も好きになるけど、でも女の人の方が好きなの。 そして、結婚しているような気持ちで、きょんと暮らしてるんだよ」
続きます。
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