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加藤司・谷口弘一(編著)『対人関係のダークサイド』北大路書房
著者のお一人の澤田さんよりご恵送いただきました。ありがとうございます。 「ダークサイド」という書名のとおり、「浮気」「だます」「うらやむ」抑うつ」「人を苦手になる」「恋を失う」「暴力」「いじめ」「DV」と、これでもかとダークな内容がならんでます。そして表紙も心無しかダークな感じで、なかなかいい感じです。
ダークな部分には誰しも目をむけたくないところかもしれません。しかし、シャミッソーの『影をなくした男』にもあるように、人間、ダークな部分がなければ生きていけないものかもと思います。澤田さんは第三章の「うらやむ」をご担当。ここで嫉妬と妬みが扱われていますが、社会心理学の理論をもとにして、実証データから丁寧に論じられています。他の章も非常にわかりやすくまとめられていると思います。わが卒論生でも、妬みや暴力といったものにひかれ、それを研究したいと考える人がいます。そういう人にとってよい入門書となると思います。
ところで、後の方では嫉妬と妬みのダークサイドが扱われています。ということは、嫉妬や妬みそのものは必ずしもダークとはいえないのかもしれないですね。たしかに言われてみれば、「うらやましい」ことのなかには「羨望」もあると北山修の講演にあったのを想い出しました。
章の最後には妬みや嫉妬をのりこえるには、人をうらやんでいる自分の気持ちに気づきながら、それに流されずに暮らしていくこととあります。そういう気持ちがあると広言するのはなかなか勇気のいることだから言わないけれど、僕も「妬み」や「嫉妬」を感じないといったら嘘になります。まあ、妬んだって結局なんにも生産的でないわけだから、それなら生産的になるようにしっかり自分で頑張ろうと思うようにしています。・・・いつもとは行きませんけどね。
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hideaki
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