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2007年02月13日(火) エマージェンス人間科学:理論・方法・実践とその間から

北大路書房から新しい本がでました。その名も『エマージェンス人間科学:理論・方法・実践とその間から』。西條さん、菅村さん、斉藤先生を中心に、11日に最終回をむかえた『次世代人間科学研究会』のメンバーで編みました。

次世代人間科学研究会というのは、4年半ほど前に発足して、異領域にある人々のコラボレーションによって、新たな何かがうまれることを狙った会といえるかと思います。僕も最初のころからメンバーに加えてもらってやってきました。研究会もさることながら、メーリングリストが特に活発で、そのなかでの刺激的な議論からいろいろな見解がうまれていったと思います。

さて、この本は、そういう研究会の最後として、いろいろな人がコラボレートして何かが生まれる(エマージェンス)ことをねらって編まれた本です。

僕は第7章の「臨床心理学実践のフィールドワーク:エビデンスによる臨床の組織化」というのを書きました。これも次世代研の議論から着想をえたものです。みな、それぞれに面白い論考がそろっています。

ただし本書の特徴としては、個々の論考だけではなく、2人の編者同士がくんで互いの章にコメントをつけあい、さらにそれへのリプライを掲載することで、ひとつひとつの章をたたき台として、そこからたちあがる議論そのものを読者に届けたいという意図があります。「和して同ぜずを地でいくスリリングな対論」という池田清彦先生のオビはそういうところをうまく表してくださってると思います。

こういう議論を編者のあいだだけで終わらせるのはもったいないと思いますし、多くの読者に手にとってもらい、さらなる議論の渦をつくっていただけるといいなーと、思ってます。





『エマージェンス人間科学:理論・方法・実践とその間から』
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2007年2月発売(北大路書房)

【共著者】
西條剛央・菅村玄二・斎藤清二・京極真・荒川歩・松嶋秀明・黒須正明・無藤
隆・荘島宏二郎・山森光陽・鈴木平・岡本拡子・清水武

【目次】

はじめに 西條剛央

セッション1 理論
 1章 菅村玄二:人間科学の意味するところ
     清水 武:人間科学を考える動機とその経緯
      菅村玄二:人間科学と私

 2章 西條剛央:理論とは何か〜構造構成主義アプローチ
     京極 真:構造構成的可謬主義の定式化
      西條剛央:原理的欠陥とは何か?

セクション2 理論と実践の間
 3章 京極 真:探求主義という新たな認識論の構想
     西條剛央:探求主義のさらなる探求のための基礎づけ
      京極 真:他者問題に対する構造構成主義的見解

 4章 無藤 隆:理論と実践の対話を目指して〜10の方法
     岡本拡子:理論と実践を往還する中間人
      無藤 隆:理論的生成の場としての現場

セクション3 実践
 5章 岡本拡子:実践のための実践〜保育者養成における「学び」
     無藤 隆:「反省的実践者」モデルの深化に向けて
      岡本拡子:反省的実践者の「学び」

 6章 山森光陽:学校における実践研究覚え書き
     松嶋秀明:子どもの姿が見えること,見えないこと
      山森光陽:教育実践研究における制約

セクション4 実践と方法の間
 7章 松嶋秀明:臨床心理学実践のフィールドワーク〜エビデンスによる実
践の組織化
     山森光陽:了解可能性,許容可能性,そしてエビデンス
      松嶋秀明:エビデンス・ベースド・アプローチのレブレクシビティ

 8章 黒須正明:ユーザー工学に至る道〜僕の精神的遍歴を通して
     荘島宏二郎:黒須論考(ユーザー工学に至る道)へのコメント
      黒須正明:荘島評について

セクション5 方法
 9章 荘島宏二郎:現像論スケッチ
     黒須正明:荘島論文「現像論スケッチ」について
      荘島宏二郎:黒須コメントを受けて

 10章 鈴木 平:全体性の科学としての人間科学〜方法論と可能性
     荒川 歩:方法論の輸入の方法と意義
      鈴木 平:全体へのアプローチと部分へのアプローチ

セクション6 方法と理論の間
 11章 荒川 歩:誰のための人間科学?〜Narrative-based knowledges (NBK)の発想
     鈴木 平:人に優しい科学の可能性
      荒川 歩:Narrative-based knowleges(NBK)と「科学」

 12章 清水 武:方法と理論の重要性を考える〜知覚研究の一例から
     菅村玄二:ダイナミックタッチ研究の人間科学的側面
      清水 武:菅村コメントへのリプライ

最終章 斎藤清二:次世代人間科学の挑戦〜私と世界とを結ぶもの

あとがき 西條剛央
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