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2006年02月27日(月) セラピーは、アートでなくて、ツールです

昼から京大会館で研究会。2年半前、細馬さんにはじめて連れて行っていただいてから、授業やらなにやらが重なって行けなくなっているうちに、すっかり行きそびれてしまった。今回は京都教育大学の花田さんのご発表。長いこと欠席だったので恐縮だったのだが、今回の発表を逃すともうずっと行けないような気がしたので頑張って出席。

花田さんのテーマは短期療法を志向するセラピストが、いったい家族のインタラクションの何をみているのかを明らかにしようとするものだった(と思う)。実験的手法を用いて、これまでともすると「アート」とされていたセラピストの目のつけどころが、実際に定量的に示されうる指標として存在するということがわかった、といったところだろうか。セラピー空間でいったい何がおこっているのかを、セラピストの視点からの事例研究ではなく扱うというのはこれまで日本ではなかなかなかった。その意味で、すごく今後に期待のもてるご研究だと感じた。


僕のイマジネーションが貧困で、いったいどんな要因が効いててそうなっているのかがいまいちよくわからなかったのだが、発話者移行に際しての特徴をあらわす"R"という指標がなにかセラピーの重要な一部分をつかまえているらしいということはわかった。僕はどうしても具体的なものをみながら話をするほうがわかりやすいたちなので、実験の映像をみながらお話を伺えば、さらにいろんなことがわかったんだろうが、プライバシーなどの関係もあって実際の映像をみるわけにはいかなかったのが残念といえば残念。あとは、介入に際して視線の方向付けが効くらしいというのが興味深かった。

それにしても花田さんは、いろんな研究知見をふまえてとてもかっちりと研究もしつつ、臨床もしつつということですごい方である。会話分析もちゃんとフォローしてらっしゃるのには驚いた。そして今度のシンポでお世話になる若島先生、生田先生の後輩にあたるということで、世界は狭いものだとつくづく思う。

細馬さんがお帰りになるタイミングに便乗して、僕もおいとま。車に乗せていただいて帰る(ありがとうございました)。


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