縁側日記  林帯刀





2005年10月03日(月)  無花果。


赤蜻蛉が飛んでいる。
小さいころは、よく虫取り網をかついで、
葱畑で蜻蛉をつかまえた。
きみどりの虫かごに片っ端から入れて、
最後にふたを開けはなして、
蜻蛉が自力で逃げていくのを眺めていた。
彼らはどこで死ぬんだろう。
象と同じに、決まった場所があったとしたら、
そこはきっと彼岸花のようにあかいんだろう。





や、ここんとこ涼しくて過ごしやすくてよいね。
昨日だけはすごく暑かったけども。
まだ初秋かな。
紅葉もはじまらないしね。
今のような時期は好きだな。
暑くて気が抜けなくて、カーっとなってた夏が終わって、
ちょっとおだやかになるというか、
気を抜いても体壊さないし、
クールダウンしているような感じ。
やっぱり季節の変わり際が好きなんだと思う。
二つの季節が重なってる時期。





赤い彼岸花が咲いている。
まるで死体みたいだ。





無花果(いちじく)の話はしたような気がするんだけど、
してなかったみたい。
あれ?

庭の無花果が豊作で、
最近までヒヨちゃん(ひよどり)
(灰色で後頭部が逆立ってるファンキーな鳥)
がわらわらと群がってた。
彼ら、よく鳴くのです。ひよひよと。
なので、無花果の木が、なんつうの、
奥さんの井戸端会議のような、女子高生のかたまりのような、
ええ、にぎやかでありました。
カラスもきます。
トタン屋根からつつこうとしたところ、
すべってあわてていたのを母に見られたらしいです。
おばか。





濃くなった影に逃げ込むように、
僕は耳をふさいでいる。




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