武満徹「マイ・ウェイ・オブ・ライフ」 - 2005年04月20日(水) 昨日は長々と, そしてとりとめがない文章に反省しきりです。 本当に文章を書くというのは難しい。 それからこのEnpituの皆さんの書いているのをみていると 総じて女性の方がはるかに面白い文章をお書きになりますね。 男性は旗色悪し。 キチンと推敲も校正もせず一筆書きのように書くから、ということもありますが それにしてもあ〜、恥ずかしい。 いっぱい感じているのに結局言葉がついていかないんですね。 で、「武満徹−マイ・ウェイ・オブ・ライフ」なのですが これは前から楽しみにしていました。 私は学生の頃…? いや、大学を卒業した頃かな、武満さんの音楽に興味がわきだしたのは。 その時聴いていたのがどの曲だったのか、実はよく覚えていないのですが 多分彼の後年の作品だと思いますね。 その後、少女のナレーション入り「系図〜ファミリー・トゥリー」の日本初演を小澤征爾さん指揮サイトウ・キネン・オーケストラがした時のNHKのライヴを見て、完全にトリコになりました。 武満さんの、多分一番有名な曲、 尺八と琵琶がオーケストラと一緒に、でも協奏曲風というのではなく、 交互に、西洋と東洋のコントラストをなすように演奏される 「ノヴェンバー・ステップス」は随分後になって聴きました。 (この曲は中学校の教科書の共通鑑賞教材かなにかになってたハズ) ニューヨーク・フィル創立100年のために委嘱された、この武満さんの比較的若い日の名曲は随分辛い。ストイック。 私の好きな「ファミリー・トゥリー」をはじめ、後年になってからの曲は まずオーケストラ(ピアノ曲でもそうだが)の音が信じられないほど豊穣。 ちょっと甘すぎるのではないかと思うくらい。 ゆったりと、お酒の香りのなかに身をひたしているような恍惚とした、 そして詩的な音楽が多い。 話を「マイ・ウェイ・オブ・ライフ」舞台上演に戻しますが、 これはそういった武満さんの名曲(7〜8曲)を、 名指揮者ケント・ナガノがメドレーのように構成し、 そしてそれを世界的鬼才演出家ペーター・ムスバッハが舞台として視覚化する、という大胆不敵なもの。 最初、この上演チラシを見て知った時には ある種の違和感とともに「ほぅ」と思いました。 武満さんの音楽はオペラではないし、バレエでもない 純粋な「音楽作品」として在るわけだし、 それもとても完結した世界だから。 でも、同時に「まあ、それも挑戦か。」とも思い、ちょっと複雑な気分でしたね。 一方でもうひとつ違和感があったのは チラシや雑誌の宣伝で、そういう舞台上演を「誰もやったことのない試み」みたいな、いかにも前衛的なものをやるぞ、みたいな書かれ方がされていて、 でも、こういうのって例えばベジャールなんかはいつもモーツァルトやワーグナーの「指環」や、その他クラシック音楽を基盤に、バレエだけれどもむしろ演劇作品に近い舞台を創ったり、イリ・キリアンなんかもしかり。 そういった類のものは日本でもしょっちゅう公演が行われているワケだから 井の中の蛙、大海を知らずというか。 どんな宣伝なんだよ!?と苦笑していました。 まあ、こういう業界にいるとそうなってしまうのは、私にはよくわかるんですけど…(ため息) ただ何にしても「武満さんの音楽をどう視覚化するというのだ」という疑念はありました。 はっきりいって心配。 でも実際の公演、とてもよかった。 終わった時自分の中を「なんか、よかった…」という 実にあいまいな、でもほんのりあったかい気持ちが満ちてくるのがわかりました。 ムスバッハの演出は、 金色の像のような老婆や宇宙人のような少女を始め、 カラフルなキャバい女たちから、舞台を圧して動き回るデカイ頭(「うる星やつら」のチェリーみたいな) とか、まあワケのわからないものが出たり入ったりなのですが 前半「弦楽のためのレクイエム」から「ノヴェンバー・ステップス」に至るあたりの運びはちょっと退屈したものの、 「ファミリー・トゥリー」からピアノやギターによる「スタンザ�機廖∈埜紊離丱螢肇鵝�合唱、オーケストラによる「マイ・ウェイ・オブ・ライフ」に至る後半はとても詩的な(視覚的には賑やかだけれでも)ものがあって 「ああ、この人は武満さんの音楽の世界をできる限り大事に扱おうとしているのだな。」と思いましたね。 詩的な音楽を、この才能あふれる演出家はできるだけ筋を通して、 武満さんの「人間的な」人生へのメッセージを「かたち」にしようとする。 その筋の通し方が「ああドイツ人なんだな」とヘンな納得の仕方を私はしてました。 こういう創造的・抽象的なものは「感じるままに人それぞれ感じればいい」と 近くに座っている人は、自分の奥さんかな?「難しい難しい」とボヤく近くの女性に語っていましたが、 それにしてはかなり筋立てはハッキリしていた。 プログラム(実に詳細で、デザインを含め制作側の気迫を感じる一冊だった。帰ってからじっくり読みました)にもあらすじ(のようなもの)が明確に書かれていましたしね。 ケント・ナガノが指揮するオーケストラがとても良い演奏をしたのが大きかったのでしょうが、まず武満徹の音楽がありき、 その質の高さから全てが生まれている舞台上演でした。 武満さんに対するいいオマージュ・・・って感じ。 ...
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