ある音楽馬鹿の徒然カキコ♪...みゅう太

 

 

はじめてのヨーロッパ 〜その18 ウィーン2 - 2003年05月21日(水)

ロンドン交響楽団のコンサートの余韻覚めやらぬ心と体であったが、
翌朝は早く起きて出かけた。

ところでウィーンのホテルでは朝ごはんが素晴らしく美味しかった。
同じドイツ語圏でもこうも違うかと。
まずパンが柔らかくちょっとスイート感。
全体に優雅な感じがあるのだ。

まず、街中へ出かけた。
有名なシュテファン寺院へ行く。
既に観光客でごった返していたが、天に向かってまっすぐに伸びる外観ももちろん中はとても厳かであった。
丁度その何年か前にモーツァルト没後200年のミサがあり、彼のレクイエムをゲオルク・ショルティ指揮ウィーン・フィルが演奏したところだ。
テレビで衛星生中継があり、背筋をのばして聴いていたものだ。
これは確かCDやLDにもなったはず。

そこから賑やかなケルントナー通りで色々な店をのぞきながらぶらぶら歩く。
伊勢丹デパートなんかもあってビックリした。
(あとでウィーン・フィルのコンサートマスター、ライナー・キュッヒルさんに聞いた話だが、ここはかなり色んなものが手に入りすごく便利とか。)
あとウィーンに限らずヨーロッパのこういう通りにはアイスを売ってる屋台が多いのだが、これが美味しいのだ。
(ちなみにドイツ圏ではIceがEisというスペリングなのが面白かった。)

それからワルツ王、ヨハン・シュトラウスの像(それまで白だったはずの像が金色になっていた。)なんかを見た。
ちなみにこの像と同じものが東京の葛飾区は青砥駅前に立っている。
あれは何度見ても場所的に違和感がある。
(「男はつらいよ」シリーズで「寅さん ウィーンに行く」というのがあったため(?)葛飾区はウィーンのどこかの区と兄弟提携を結んでいるのだ。)

さて私はいよいよ12時に友人Uと待ち合わせをしている。
それまでの午前中、共同墓地に行くことにした。
この共同墓地にはモーツァルト、ベートーヴェン、ブラームス、シューベルト…
西洋音楽史を飾る作曲家たちが皆ここに眠っている。

本当はバスか何かでいけるはずだったのだが、地図と首っ引きで電車で行ってみた。
ホントにここなのか?というアメリカ西部の荒野みたいに何にもない駅でおりたのだが、やみくもに歩いてみると簡単にあった。
広いところだし。

いやまじ広い。
そもそも普通の共同墓地なわけだからお墓は膨大な数あるわけだし、どこにベートーヴェンがいる、なんて地図があるわけじゃない。
森林公園の中という感じ。
かなり苦労したが、かなり歩くとお花が一杯供えてある大きなお墓がいくつかある。
あれかな?と思うと果たしてそうだった。
ベートーヴェンとかシュトラウスなんかのお墓はちょっと大きめだったが、ブラームスは実に地味だった。
シューベルトはこじんまりしていた。
ははは、音楽と一緒だ。
まあ、後の人がそういう風に作ったのだろうけど。

でも私はなんと言ってよいかわからない気分だった。
私が生涯をかけて勉強している音楽。その中心ともいうべき偉大な先人だちのお墓の前にいるのだ。
とにかく目をつぶって祈った。
そして感謝した。
あなたたちが残してくれた音楽で、たくさんの人が勇気をもらったり幸せになったりしているのですよ…

とても良い天気で、私はしばらくぶらぶらしてからそこを後にした。

気がつくと11時30分くらい。
やべ! 待ち合わせに遅れる!

お墓の前の比較的広い道にでたら、タクシーが何台かとまっていたのでそれに乗った。
ヨーロッパで乗ったタクシーはこれで2度目、そしてこれが最後。
(なんか乗る気がしなくてねぇ)

ウィーン国立歌劇場の前に着くと、ピッタシ12時。
すごい暑かった。
お〜いU。いねーじゃねーか。
でも保険で3時と6時にも待ち合わせてるからな。いいか。

と思ったところ、向こうから手を振ってるデブが満面の笑みで近づいてくる。
「おーーーい! みゅう太ぁぁ〜〜!」
おー、ひさしぶり!!! 2週間ぶりに自分を知ってる人間に会えた!
やっぱ嬉しかった。

「みゅう太、おめー生きてたじゃねーか。いや〜よかったよかった!ホントどこかで死んで手来なかったらどうしようかと心配でさ。よくここまで来れたな。」
「てめーが見捨てたんじゃねーか。」
「ま、そう言うな。 実を言えばフランクフルトで分かれて、いやーまずかったかな?
もしおめーに何かあったらご両親に何て言えばいいんだ、とか思っちゃってさ。」

こういう奴なんです。ほんとに口が悪くて私をあれこれ批判ばかりするのだけど憎めない奴なんです。
だから今でもずっと友達でいられる。

「しかし、なんでお前コート着てんの?」
「いや、ロンドンに今までいたんだけど、超寒くってさ。」

でもこういう再会、本当に嬉しい。

Uはホテルをとってないので、じゃ私の泊まってるところがいいぞ、ということでアン・シューベルトリングに向かいました。


《つづく》







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