|
|
■■■
■■
■ 芥川賞受賞の西村賢太さんの「苦役列車」を読むべきか、読まざるべきか?(笑)
個人的に日本現代文学は局地的な好みで読んでいるので芥川賞、直木賞受賞作は進んで読むことにしている。
芥川賞受賞の西村賢太さんの「苦役列車」は、そのジャンルだけにノーマークでした。今まで芥川賞や三島由紀夫賞のノミネートに何度か輝いている方なんですね。
私が惹かれたのは筆者の生い立ちです。私とそれほど年が離れていないが、あの当時ではまだマイノリティだった貧困層の方だ。私も同じ貧困層で育った。ただ、父親が犯罪者で服役し、筆者自身も中学卒業後、フリーターなどの貧困生活を送り、逮捕歴もあるという生の経験を生かした私小説を書き続け芥川賞を受賞したから凄い。
正直、あらすじを読んでぞっとした。東野圭吾の「手紙」の前半のように家族が犯罪を犯したため、住む場所、働く場所を得ることに苦労する主人公より、悲哀きわまりない。教育を受けることも出来なかったため、賢明な選択肢を選ぶことが困難になり、自分が蔑視すべきものには罵詈雑言を。恵まれた者には僻み、妬みを抱くという生々しい精神描写は、ミヒャエル・ハネケ並みの危険性を秘めているのであろう。
1頁めのみを読んだが、危険な本だ。なにせ、上手い。西村賢太さんは大正時代の無名な作家を研究なさっている方なので文章が俺好みの古い切り口の書き方になっている。これで現代劇(私小説ではあるが)を書くとは余りにも斬新で新鮮だ。引き込まれる文章。但し、これは読者を選ぶ。私は読んではいけない、見てはいけない部類の書籍だと思う。だが、かなり面白いらしい。くーーー。
私が何を恐れているかというと「恵まれたものへの僻み、妬み」ではなく「恵まれてない自分の情けなさ」という感情の記憶の再生である。私は子供のころから「自分の家が貧しい」「自分の親がどうしようもない人間」というのを見て育ち、普通の家で豊かに暮らす人達を見て、とても情けなかった。この感情の再生は(古い読者なら覚えている方もいるでしょうが)2003年だったかに引退した元上司(読んでたら(お辞儀)今度、ライブ行かせてください)の家で明石風たこ焼きを頂き、元ミス●●の娘さんと一緒に食事をさせてもらったり、可愛い綺麗な奥さんとのラブラブさを見せてもらったりしたあと、終電が新横浜までしかなく、真夜中に新横浜駅から横浜駅まで歩いて帰った(本当)ときに、「どうして俺はああいう幸せな家に恵まれなかったんだろう」と30過ぎたオッサンが菊名から白楽辺りまで泣きながら歩いて帰った覚えがある。夜中なので誰も見ていないので号泣してしまったのだろう。十年ぶりくらいに自分の情けなさに泣いていた。
また、十代の頃の哀しさが蘇ってきそうで怖い。この頃は純粋に「裕福さ」「恵まれた環境」が憎いときがあった。「世界は不公平なものである」と実感するのは二十代くらいのほうがいい。幼少のころにそれを知ってしまうのは余りにも残酷だった。
けど、読んでしまうんだろうなあ・・・ 今はそういう状況じゃないしなあ。
あと、この本の主人公の思考と嗜好は俺とかなり違うようだし。うむ、読んでみよう。
彼女は元気でした。
んで、「苦役列車」買って読んでみたよ! 2011年02月01日(火) 芥川賞受賞作、西村賢太「苦役列車」を読んで
Remarks 18th Jan 2011
2011年01月18日(火)
|
|
|