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■ 「指で熱くしないで、」「だめ・・・」■最近、男性不要論に傾倒しつつある
恋を焦がした痕
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遠い思い出が離れた時を埋めても 霞むことのない恋を焦がした痕の 作った煙は凍みることなく漂い 光を失った銀色の灰が欠片に崩れる
影が元の輪郭を取り戻すように 欠片は片時も散らばることなく 胎児の様に蹲って互いの熱は其処に留まる
焦がしたあとが熱いなら冷めてもかまわない 貴女が冷めたら俺も冷めるから 暑くなった貴女を醒ますのに時は要らない 俺の熱を冷ますにはもう少し時間が必要だから
部屋を出て身体を冷ますその理由(わけ)は 身体が熱くなる夜を思い出すのが嫌だから 煙草の煙を吸い込んで心の揺れを止めないと 心を焦がした痕は熱を抱いたままで 熱射病の眩暈に似て視神経は苛まれる
自らの指で冷ましても 再び熱を帯びてしまう過ちの繰り返し 火遊びに似た指先で弄ぶGAME 数字が変わるように火と氷の共犯者が 心と身体を焦がし続ける。 **
29
指がでホックに触れてないのに 指がシルクに触れてもいないのに 朝露の様な汗をその肌に光らせたり、 身体の力がすべて、一本の指だけで奪われる魔術。
不快を否定する人間の欲求を満たすように、 その身体は其処にあった。
その身体の柔らかい突起に指を触れれば 熱と氷の結婚のような眩暈に囚われる。
俺は耐えてきた。 その誘惑に。
誓いを破らないためにも耐えた けれども、締めたネクタイを緩め、 上着を脱いだ時にあの指先の罠に絡め取られていた。
聖アントワーヌの誘惑の幻覚。 開いたその場所の丸い突起に指を延ばし、 誘惑に負けて触れた。
26
汗ばむ午後の終わり
冷めた感覚と平穏を取り戻す。 もう煙草など要らない。 乾いた咽喉を癒す口移しのクアスも要らない
貴女達は視界の片隅で厚手の生地で肌を覆った。 女神の曲線を焦らすように布を重ね合わせる 衣擦れの音が静かな部屋に響く。
俺は指を動かしていない。 女が身体を微かに震わせ眉が歪んだ。 情欲の衝動を抑えるように身体を固くした。
俺は冷たい態度で指を動かさない。
貴女はその突起に自ら指先を伸ばした。 俺は目を疑った。目よ、否と言え、と。
29
オフィスの中で指と指が交わりあう。 ただ時間という歪みを連れ歩いて。
かつての恋人が過去の情事を思い出したように、 再び、肌を湿気が肌に舌を這わせるように濡らす
この空間から逃げ出したくなる衝動が心を覆う。
熱い風が激しく戦ぐ。
レプトン。 「貧者の一灯」を賭けてもいいぐらい 毎日の指の交わりは男を狂わせた。
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