|
|
■■■
■■
■ 夜中に重い映画二連続
どんよりとした眠気のなかで最終の金曜日です。どうも調子がひどく悪いです。
帰りにビデオ屋に寄って「ホテル・ルワンダ」チャン・ドンゴン好きな奥さんが観たがっていた「タイフーン」そして、昨晩観て非常に気になった「セイヴィア」を借りてきました。
まず、内容が残酷このうえないので一応確認したら奥さんも観たいというので「ホテル・ルワンダ」を観ました。劇場に行ってでも観たかった作品だったので良かったです。昔、ルワンダの虐殺事件のニュースで道端に積まれている死体の山々を思い出すほど凄く重い映画でした。ドン・チードルがアカデミー助演男優賞ノミネートの理由は一目瞭然です。何気にホアキン・フェニックス、ニック・ノルティ、ジャン・レノが出てて全員がいい演技をします。戦争映画のジャーナリストというのは役者冥利に尽きるものなのでしょうか、同じような内容の映画で名作「キリング・フィールド(以下、KF)」でもジョン・マルコビッチ、ジュリアン・サンズが従軍記者を好演していました。とにかくKF以来の切ない映画でした。ただ、KFのカンボジア戦争のポル・ポト政権は子供を崇高化し大人を大虐殺しました。このルワンダの悲劇は老若男女お構いなしの大虐殺で目を覆いたくなるようなシーンの連続である。子供には見せられない地獄のような世界だ。元々ツチ族が狩猟や戦争をする貴族で農耕に従事するのがフツ族で人口比もフツ族のほうが85%と多数を占めている。長い間、多くの利権を少数民族のツチ族が牛耳り、フツ族の不満が募るのは避けられないことである。その部族間の対立が何世紀も続いているために戦争や虐殺が繰り返されているが、あまりにも民兵の非人道的な行為は人間の領域を逸脱した狂気に満ちている。この平和な日本では少数の狂気じみた犯罪者がはるか大多数の正常な人間に迷惑をかけて事件となる。しかし、この映画でも一人、二人だけの正常な人間が他全員狂気に満ちた人間を相手にしなければいけない地獄模様が繰り広げられているのだ。家族を守るのも精一杯なのに1200人もの人間を救ったホテルの支配人の実話の物語を描いている。資源も何もないルワンダを見捨てる欧米各国。国連軍すらホテルを出て行ったときに流石の私も絶望を感じた。去っていく国連軍、ベルギー軍のトラックを雨の中、呆然と見送るドン・チードルの姿は宣伝にも流れているが涙を禁じえない。それを政府軍の将軍相手に賄賂が尽きても口八丁手八丁で危機を乗り越える支配人の姿は凄い。家族を持った今、考えさせられる物語である。特にニック・ノルティの名演は素晴らしい。国連軍の将校の複雑な感情と熱演で見事に演じきっている。また、家族を持つ者には感涙必至のラストが待っています。とても良い結末なのに観ていて苦しいほどの感動のラストが待っています。すごい不安になる要素(バス)があるのですが最後の最後のストップモーション画面のギリギリはじっこで安堵させられます。とにかくここ最近では個人的にベスト3の映画です。ベスト3に挙げられるでしょう。ここ最近ベスト3は「ビヨンド・ザ・シー」とこの「ホテル・ルワンダ」さて、もう一作は何になるんでしょう?
で、引き続き「セイヴィア」を観ました。奥さんにはダメージが大きいと思われるので寝てから観ましたが起きてきて最初のほうを観られてしまいました。フランスでイスラムのテロ襲撃によって妻のナターシャ・キンスキーと幼い子供を失ったデニス・クェイドが葬儀の最中に通りの向こうのモスクに行って礼拝中のテロとは関係ないモスリムを背後から射殺するという壮絶な出だしで始まります。とはいえ、撃たれたモスリムが銃を取り出すところでモスリムが日常的に武装しているという少し宗教差別的な場面で主人公の行為を正当化しています(なにげにこのモスリムを撃ち殺すのが主人公の親友のステラン・スカルスゲルト。最近活躍目まぐるしい売れてるオヤジ)その後、傭兵となりユーゴスラビアへ行きモスリムを撃ち殺す日々を過ごします。そこで妊婦と出会い、赤ちゃんを取り上げます。ここまで随分とオフビートな感じの戦争映画なんですが一転して赤ちゃんと母親とのロードムービーになります。この赤ちゃんがとても可愛い、可愛い。この映画も正常な人間が一人か二人で他全員が狂気(家族でさえも)という絶望的な地獄の戦場で一人の男が赤ちゃんを守り抜くという、もうハラハラドキドキで感涙必至の場面の連続です。何気にチェッキー・カリョが出ていたりします。しかし、この国もルワンダと同じように地獄です。また国際的な問題になったエスニック・クレンジング(民族浄化)を前面に押し出しています。オリバー・ストーン総指揮の文字は頷けます。とにかくデニス・クェイドの演技が素晴らしい。無骨な戦士を演じる反面、赤ちゃんに対して繊細な扱いと対応がとても素晴らしい。赤ちゃんを守るための最善の選択肢が皮肉で非業な結果を生んでしまうシーンの連続に嗚咽を漏らしてもいたしかたあるまいて。余談ですが劇中でエアロ・スパシアル社のガゼル戦闘ヘリが二機も出ています。すごいリアリズムです(ところでガゼルは「ブルーサンダー」の原型機である)
さて、この二作を観て何を考えなければいけないか?いかにして家族を守り抜くかでしょう。日本は戦場ではありませんが弱者を狙った犯罪が多いです。これらをいかに働きながら守り抜くかという戦場と同等の過酷な環境下で行わなければいけません。休まる暇はありませんが我が家を守り抜くことこそが父親の務めだということを心に刻み続けなければいけません。最も良いことは働かないで子供と一緒に居続けることが最も良いことだと思います。そのための準備がなかなか進まない・・・。頑張ろう!
2006年09月15日(金)
|
|
|