The Green Hills of Earth
2009年11月20日(金) |
農作物直売所 / ボージョレー・ヌーボー |
最近農作物の直売所が盛り上がっています。
元はと言うと、大手の市場に乗りきれない物、切り捨てられた地域などが生き残りをかけて自分たちの農作物を直接売り始めたと言うのが発端のようで、それが「採れたて野菜(新鮮)」「生産者の顔が見えるから安心」と言うような理由から徐々に人気を博して今に至っているようです。
そして、最近では経営が安定してきて、新しい農作物に挑戦する農家や、今まで休耕地だったところを復活させる農家なども増えてきたと言う話も聞きます。←たまたまテレビで放送しているところを見ました。
そういう話を聞くと良いことだらけのように感じますが、私はちょっとさめた目で危機意識を高めています。
まず、「採れたてで新鮮」は良いとしても、この農作物が「安全なのか」は誰がどうやって判断をしているのでしょう。それは例え出荷先がノーキョーとなっても変わらないのかも知れませんが、少なくとも「採れたてをすぐに販売する」と言う直売所よりチェック機構は多くできるメリットがあります。
テレビの特集でも言っていましたが、「農業は儲からない」と農業を捨て会社で働いていた人が、今は「農業が儲かる」と休耕していた土地を使って農作物を作り始めたと言います。それはそれで良いことですが、休耕していた土地を農業に使える土地にするためにはかなりの努力が必要ですし、その為に土地に与える肥料や農薬は如何ほどの物になるのでしょう。
「真面目に作った作物が、正当な評価で販売される」…これが生産者も消費者も望む正しい直売所の姿です。しかし、当然ながらそこには欲が絡んできますので、「より多く作るため」「どうせチェック機構はない」「俺ひとりくらい」そんな形で不真面目な作物が流通して、発覚したら問題になることでしょう。
私は直売所は成功して欲しいシステムだと思って居ます。だからこそ、農家の善意に頼るのではなく、きちんとした安全に対する管理なり規約なりを作って言って欲しいと切望するのです。
また、ここに大手企業が参入し始めているようです。どうかこちらは失敗して欲しいと私は思います。大手企業が見放した事で開いた事業が、軌道に乗ったところで大手に乗っ取られるなんて…まぁ事業って言うのはそういうもんだと言う面もありますが、企業が入ってしまうと、それは直売所と言うよりスーパーの出店みたいにならないか心配です。
そしてもうひとつ。今「働き口が無いから」「農業は儲かるから」と農業人口が増えようとしていますが、景気が戻ればまた「農業は儲からないから」「休む暇がないから」と人が離れていくのは目に見えています。そうならないようなシステム作りが必要です。そしてこれは「個人が」ではなく「国が」腰を上げる必要のある項目だと思います。いくら工業国であるとしても、国民の食品自給率が低すぎる国には将来を感じられません。国の土台は農業と林業です。ダムを造る金があるなら山を作れ。山を作って、農業を定着させてこそ国があるのです。
「今年の気候は寒暖差が激しくて良い葡萄が出来た。結果、今年のボージョレー・ヌーボーはうまい。50年に1度の出来だ」
と言うことらしいですが、それは、ボージョレー・ヌーボーだけが50年に1度の出来と言うことなのでしょうか。個人的にはお祭騒ぎ用のボージョレー・ヌーボーより、その後のきちんと熟成させたワインを期待したいのですが、それは間違っているんでしょうか…酒には詳しくないのでよく分かりません。
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